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お宮さん/ザ・トーイズ(視聴リンクあり)

その名も「座頭市」から名付けられた大映の人気カルトGS、1968年リリース唯一のシングルです。

ボーカルがインドネシア人であるという、もう未来に「カルト」「ディープ」といった扱いを受けることが約束されていたかのような謎の人選で、かつ楽曲はB面のタイトル「じょんがらゴーゴー」のイメージ通り、津軽三味線奏法ギターをフィーチャーした爆速疾走チューン。奏法はオリジネイターである寺内タケシ直系ではありますが、本家と比較するとどこか若さを感じる勢いあるギタープレイで聴くものを唸らせます。


曲名は「お宮さん」ですから、当然のこと歌詞のテーマは「金色夜叉」の貫一お宮を扱っています。しかもインドネシア人ボーカルのどこかカタコト&舌っ足らずな歌唱で歌われると情緒が欠ける代わりにコミカルな印象が備わった気がして、それがプラスに作用しているのではと感じます。とにかく情報量が多すぎてどこから突っ込んでいいのか分からない、というのが正直な感想です。

B面「じょんがらゴーゴー」も同系統の楽曲で、たいていの場合AB面で異なるコンセプトの曲を配することが多いGSのシングルにおいて珍しい構成で、しかもどちらもキラーチューンであるとなればもう文句はありません。


これ、実は個人的にけっこう思い入れがあるレコードでして、カルトGSものの中でもかなりのレア盤と評価されていた当時(3万円台の価格で壁に飾られていたのは一度だけ見たことがあります)、私はこのシングルを今は無き池袋の八勝堂で6,400円で見つけて購入しています。発見したときは思わず声が出ました。ジャケットの一辺が斜めに切り取られたカット盤ではあったのですが、安くも無く不当に高くもない、八勝堂さんの「分かっていてこの値段を付けています」という値段設定にも心意気を感じました。

数年前にシングル盤で再発されましたので、そちらは割と入手容易となっています(私も買いました)。

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