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古今集 巻三 夏歌 145、146、147、148、149、150、151番
題しらず
よみ人しらず
夏山になく郭公心あらばもの思ふ我に声なきかせそ
夏山で鳴いているほととぎすよ、心があってわたしの気持ちがわかるのならば、恋心に沈んでいるわたしにその声を聞かせないでくれ
郭公なくこゑきけば別れにしふるさとさへぞこひしかりける
ほととぎすの鳴く声を聞いたので、離れ去ってきた故郷さえもとても恋しくなってしまった
ほととぎす汝がなく里のあまたあれば猶うとまれぬ思ふものから
ほととぎすよ、おまえが鳴く里はたくさんあるので、なおさら疎ましいと思ってしまう、わたしにだけ鳴いてほしいのに
思ひ出づるときはの山の郭公唐紅にふり出でてぞなく
あの人を思い出す時は、いつも緑の常盤の山のほととぎすよ、唐の紅を水に出してといて泣きながらさすように、緑の山を紅く染めるほど声をふりしぼって鳴くようだ
声はして涙は見えぬ郭公わが衣手のひづをからなむ
声はするけれど涙は見えないほととぎす、わたしの泣いて濡らした袖を借りてともに泣いてほしい
あしひきの山郭公をりはへてたれかまさるとねをのみぞなく
裾野の美しい山にいるほととぎす、時間をかけてゆっくりと、自分より誰か優れているものがいるのかと良い声でひたすら鳴いている
今さらに山へかへるな郭公こゑのかぎりはわがやどになけ
今になって山へ帰るな、ほととぎす、声の限りを尽くしてわたしの家の庭で鳴いてくれ
読み人知らずのほととぎすの歌を集めたものです。ほととぎすの鳴き声が恋心を思い出させて、辛くなるものが中心です。または、山へ帰っていくほととぎすを男性に見立てて、帰らないでほしいと言ったりもしています。
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