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古今集巻第十七 雑歌上 896番

題しらず
よみ人しらず
さかさまに年もゆかなむとりもあへずすぐるよはひやともにかへると

逆さまに年も行かなむ、取りも敢へず過ぐる齢や共に返ると

逆さまに年が進んでほしい、そうすれば、捕まえることもできず、過ぎて行く齢も一緒に戻るので

逆向きに年月が進んくれたら、過ぎていく年齢もきっと戻るだろう、という希望を詠んだ歌です。時間が反転すれば、年齢も若くなる方向に進むはずだという、ある意味で科学的な思考ですが、もちろん反転させる方法については示されていません。
「年もゆかなむ」の「なむ」は、ここでは願望の意味の助動詞です。
「取りも敢へず」は、「取ることができない」の意味です。現代的な「とりあえず」の「暫定的に」、という意味ではありません。

#古今集 , #雑歌上 , #年 , #齢

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