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古今集巻第十二 恋歌二 556番

下つ出雲寺に人のわざしける日、真静法師のだうしにていへりけることを歌によみて、小野小町がもとにつかはしける

あべのきよゆきの朝臣

つつめども袖にたまらぬ白玉は人を見ぬ目の涙なりけり

下の出雲寺に人がご法要をなさった日に、真静法師が導師としておっしゃったことを歌に詠んで、小野小町のところに送った歌

安倍清行朝臣

包んでも袖にたまらない白玉は、あなたに会えないわたしの目の涙なのです

真静法師が説教で法華経の五百弟子受記品を解説し、その中の「以無価宝珠、繋其衣裏、与之而去。其人酔臥、都不覚知。(無価の宝珠を以て其の衣の裏に繋け之を与えて去りぬ)」(仏は尊い教えをそっと授けていったが、その人はこれを理解しなかった。)を使って、衣と宝珠から袖、玉に掛け、また「わたしの思いをわかってくれない」と言う意味の歌を作ったのだそうです。
下つ出雲寺は、京都市内の今の下御霊神社か、府庁あたりにあったと言われています。

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