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古今集巻第十三 恋歌三 644番

人にあひて、あしたによみてつかはしける

なりひらの朝臣

ねぬる夜の夢をはかなみまどろめばいやはかなにもなり
まさるかな

女に逢って、帰った朝に詠んで送った歌
在原業平
ともに寝た夜に見た夢をはかなく思いながら、うとうととまどろんでいると、いよいよとはかなさが勝ってくるものだ

後朝の別れのあと、帰宅して一人でまどろんでいると、楽しく過ごした夜を思い出してまた逢えるだろうかといよいよ儚くなるという歌です。

この歌は伊勢物語にあります。まじめな男なのだが、ついつい親王の下女と仲良くなってしまった、と書かれています。

伊勢物語第百三段
むかし、男ありけり。いとまめにじちようにて、あだなる心なかりけり。深草の帝になむ、仕うまつりける。心あやまりやしたりけむ、親王たちの使ひたまひける人をあひ言へりけり。さて、
寝ぬる夜の夢をはかなみまどろめばいやはかなにもなりまさるかな
となむ、よみてやりける。さる歌のきたなげさよ。

#古今集 , #恋歌三 , #在原業平 , #伊勢物語


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