古今集 巻四 秋歌上 248番
仁和の帝、みこにおはしましける時、ふるの滝御覧ぜむとて、おはしましける道に、遍昭が母の家にやどり給へりける時に、庭を秋ののにつくりて、おほん物語のついでによみて奉りける
僧正遍昭
さとはあれて人はふりにし宿なれや庭もまがきも秋の野らなる
光孝天皇がまだ皇子でいらっしゃった時、奈良の布留の滝をご覧になるということで、お出かけになった。その途中で、遍昭の母の家にお泊りになった時に、庭に草花を植えて秋の野の趣きにしておいた。そこでお話しをした時に詠んで奉った歌
僧正遍昭
布留の里は荒れて家人は年老いた家だからでしょうか、庭も垣根も秋の野原のようです
布留(ふる)と古(ふる)が掛かっています。家人(母)も老いていますし、庭も垣根も秋の野のようにさびれていて、すいません、と謙遜しています。光孝天皇は桓武天皇の曾孫、遍昭は桓武天皇の孫なので、天皇にとっては信頼できる遠縁のおじさんなのでしょう。
この歌が古今集巻四秋歌上の最後です。巻第五は秋歌下なので、秋の歌はまだ続きます。
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