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古今集 巻第五 秋歌下 294番

二条の后の春宮(とうぐう)のみやす所と申しける時に、御屏風に竜田川に紅葉ながれたるかたをかけりけるを題にてよめる

業平朝臣

ちはやぶる神代もきかず竜田川唐紅に水くくるとは

二条の后が以前に東宮の御息所と呼ばれていた時に、そこの御屏風に竜田川に紅葉が流れている形の絵を描いてあったのを題にして詠んだ歌
在原業平朝臣
雄々しく美しい神の時代にも聞いたことがない、竜田川は唐の紅のように美しい、くくり染めになっているようだ

 竜田川の自然が織りなす美しさと、人が作った染め物の美しさとを比べて、同じように素晴らしいと言っています。
 百人一首にも取られている有名な歌です。作者が伊勢物語の登場人物の在原業平であるためか、女性問題にひっかけた落語「千早振る」にもなっています。
 伊勢物語の「芥川(あくたがわ)」には、男が長年通った女を連れ出して逃げたけれど途中で鬼に食われた話があり、それは業平が藤原高子と駆け落ちしようとして連れ戻された話だとされています。その藤原高子は清和天皇の女御で、この歌の詞書の二条の后なので、恋人の再会の場面でもあります。

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