題しらず
とものり
春霞たなびく山のさくら花見れどもあかぬ君にもあるかな
題知らず
紀友則
春霞が棚びく山のさくらの花のように、なんど逢ってもまた逢いたいと思うあなたなのです
または
春霞が棚びく山のさくらの花のように、ちらと見かけただけでも心が満たされるあなたです
穏やかな情景の美しい歌です。上の句は「見れども」に掛かる序詞です。
「何度逢っても」とすでに仲良しなようにも思えますが、ちらっと見かけただけと言う意味かもしれません。春霞たなびく山の桜は、霞で見えたり隠れたりするので、ちらちら見えているだけの感じがするからです。
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