題しらず 在原行平朝臣
春のきる霞の衣ぬきをうすみ山風にこそみだるべらなれ
春がまとう霞のように衣が薄いので山から吹く風で乱れてしまうなあ
「ぬき」は漢字で「緯」。服の横糸。
「べらなれ」助動詞べしの語幹べ(推量)+接尾語ら(状態)+助動詞なりの已然形なれ(断定)。そういうものだろう、そう思うの意。平安時代の古今集の一時期には、この言い方が目新しくて流行したようです。
在原行平は、平安時代初期の人。平城天皇の孫、阿保親王の子で、在原業平は、行平の異母の弟だそうです。
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