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岩波少年文庫を全部読む。(130)近代農業共同体における子どもの表象、そして舞城王太郎作品との縁 アストリッド・リンドグレーン『やかまし村はいつもにぎやか』

アストリッド・リンドグレーン『やかまし村はいつもにぎやか』(1952。大塚勇三訳、岩波少年文庫)は、1947年から1952年にかけて刊行された《やかまし村》トリロジーの最終第3作です。

村の子どもたちも成長していきます

第1作『やかまし村の子どもたち』(1947。大塚勇三訳、岩波少年文庫)で7歳だった語り手、中屋敷の娘リーサは、本書ではもう9歳になりました。

本書冒頭でのリーサの説明によれば、やかまし村はかなり標高の高いところにある村(というか集落。家族経営の農場が3つあるだけなので……)のようです。
このあたりではめったに見ない自動車が、最初の章に登場します。町からやってきたのであろうご婦人と、その娘モニカを乗せて。自動車の登場で、やかまし村の子どもたちはざわつきます。

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