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明治維新後、日本の資本主義は歪んだ。 歪んだというよりも、資本主義が18世紀中頃のイギリスで生まれたものだと定義するならば、19世紀の半ばを迎えた日本で、それが「正しく生まれなかった」という方が意味が通るかもしれない。 欧米列強を真似たまではよかったが、彼らの思想のうち帝国主義の部分のみを取り入れたのが、1867年から1945年までの日本のかたちではないか。 作家の司馬 遼太郎は、その代表作『坂の上の雲』で、明治政府の到達した最高点を描ききった。坂の下でモガいて
資本主義と非資本主義の間にある葛藤。 現在と現代の相克。 いってみれば次代の基本理念となるものについて考えるとき、政治的に、経済学的に、そして哲学的にも大いなる啓示を与えてくれるもの。ぼくにとってのそれは、いつもヨーゼフ・アロイス・シュムペーターの理論であった。
1.老子の「小国寡民」 『老子(老子道徳経)』の一節に、「小国寡民」という教えがあるんですね。 意味を現代語に置き換えてみると、次のようなものです。 小さい国で国民は少ない。 そこでは、生活をするのに便利な道具があっても、国民がそれを使うことはない。 また、そこでは国民に命を大切にさせ、遠くに移住させないようにする。外国へと渡る船があったとしても、これに乗ることはなく、鎧や武器があったとしても、これを使用することはない。 国民は、縄を結んでそれを約束の印とし