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アメリカのコミュニティマネジメント事情 vol.2 コミュニティチームの職種紹介

今回から複数回に渡ってTHE COMMUNITY ROUND TABLEが毎年発行しているCommunity Careers and Compensation 2020を紹介していきます!
今回は非常に分量が多いのでいつも以上にゆるりとご覧ください!

1. コミュニティ分野におけるキャリアについて

コミュニティ分野は役割の種類が多く、キャリアパスは様々な広がりがありる。現在はこのようなマップだが、このマップに収まりきらない新たな役割が現れることも大いにある。あくまでコミュニティのプロがなり得る役割のサンプルとして見ていただきたい。。

もし高い役職を志すのであればコミュニティ職はあなたのリーダーシップを培うのに最高の方法だと考えられる。もしあなたがコミュニティ職のキャリアを始めたばかりであったり、少ししか経験を積んでいなかったりしたとしても、いくつもの役割への選択肢がある。この図があなたのキャリアプランを決断していく助けになるだろう。

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2. コミュニティチームの役割

コミュニティチームの給料は前年よりも上っており、特に専門スタッフやコミュニティマネージャーについて顕著だ。しかし一般的な認識と異なり、我々の取得したサンプルのうち、ほとんどのコミュニティは入門レベルにも達していない。平均的なコミュニティのプロフェッショナル達は5~8年以上のコミュニティ運営経験があり、社会人経験として総じて14年以上のキャリアがある。コミュニティチームの報酬については下記の通りであり、かならい差が激しいものとなっている。  

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

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3. コミュニティスペシャリストの役割                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

・概要
コミュニティスペシャリストは最近できた仕事で、コミュニティチームのエキスパートといえる。コミュニティマネージャーとは異なり、何事も卒なくこなせる人材が望ましい。対人スキル、コンテントスキル、技術のどれかの能力に秀でている。

・職責
コミュニティスペシャリストは自身が専門生を発揮できる分野においてチームをサポートし、戦術的な主導権を握っている。仕事においては雑草の中に放り込まれたようなとても忙しい仕事だ。メンバーへの教育やサポートをしたり、コミュニティのコンテンツを集めたり編集したり、分析を元に仕事をしたり、デザインやマネジメントシステムの整備、技術的なアセットの整理など何でもやる仕事だ。この仕事に適しているのはコミュニティに興味があり、コミュニティマネージャーほどにはゼネラリストではないのもpです、スペシャリストが持つ専門的な仕事を最初のフックとして役割や仕事の領域を広げるのが良い。

・チームで価値を発揮するために
 コミュニティスペシャリストはコミュニティの発展にとって重要なプログラムや仕組みを主体的に動かす役割だ。その結果コミュニティとチームメンバーを結びつけ、コミュニティメンバーに対して前向きな印象を提供できる。コミュニティスペシャリストはコミュニティメンバーとチームメンバーの橋渡し役と言ってよい。

・適正
コミュニティスペシャリストは幅広い経験が必要で、0~2年の一般職経験と特定のテーマで20年以上、小規模なコミュニティ運営経験を有していることが望ましい。候補者には技術、顧客対応、コンテンツのどれかのスペシャリストであり、対人関係の基礎とコラボレーションスキルの基礎が求められる。


4. コミュニティマネージャーの役割

・概要
コミュニティマネージャーはコミュニティの仕組みやプロジェクトといってものよりも人々を監督するジェネラリストだ。コミュニティマネージャーの中にはモデレーターやスペシャリストをマネジメントする人たちもいるが、ほとんどはコミュニティからの声や他のチームと共に働くことが多い。初心者でもコミュニティマネージャーになれる会社はあるものの、平均的には10年以上一般職を経験しており、かつ6年以上のコミュニティ運営経験がある。

・職責
コミュニティマネージャーはコミュニティの顔である。コミュニティを成功へ導くためにコミュニティメンバーがコミュニティの価値を感じてもらう手助けをすることと、コミュニティのスポンサーである組織にとっても価値があることを証明する必要がある。戦術的なマネジメントが要求され、計画策定や報告には戦略的な視点も欠かせない。小さな組織ではコミュニティに関するあらゆることが責任範囲となり、大きな組織ではレポートの作成、より大きな組織では外部に委託したコミュニティ運営のサポートも仕事の範疇となる。

チームで価値を発揮するために
コミュニティマネージャーの才能は共感力に現れる。コツとなるのは、メンバー自身や彼らのモチベーション、ニーズやゴール、他のメンバーへの紹介、雰囲気作りやイベントなどへの理解がメンバーの目標達成に貢献する。

・適正
理想的な候補者は12年ほどの一般職と5年程度のコミュニティマネジメント経験があること。ビジネスとリンクしているコミュニティマネジメントの理論がある会社での勤務経験があることでより効果的な決断や、コミュニティと運営組織双方と関係構築ができる。強い対人能力、コミュニケーション力、クリティカルシンキング、好奇心と共感性のある性格が重要だ。

5. コミュニティストラテジストの仕事

・概要
コミュニティストラテジストの役割は職名が表すとおり、コミュニティの戦略を構築することだ。コミュニティストラテジストは強い戦略構築力と分析力、コミュニティ構造の把握、ビジネスモデル、そして相互に依存するコミュニティへの理解力が必要不可欠だ。

・職責
コミュニティストラテジストはコミュニティのコンサルティングを行う会社や大きな組織の中枢にいながら、コミュニティにビジネスサイドの考え方を導入することが責任となる。それらは個々のコミュニティから上ってくる生産物がどのようにエコシステム構築に貢献するか、コミュニティのポートフォリオの監査を行う。

チームで価値を発揮するために
ストラテジストはコミュニティのパフォーマンス自体とそのパフォーマンスがどんな影響を及ぼすかを把握することがコツだ。優秀なストラテジストはコミュニティマネージャーと共に彼らの戦略とアプローチが良い結果をもたらし、コミュニティの成果を継続的に生み出すことができる。

・適正
理想的な候補者は15年以上の一般職経験と6年以上のコミュニティ運営経験がある者だ。そういった人たちはコミュニティのパフォーマンスに対して明確な展望を持つことができ、それぞれのテーマにおいてエキスパートである。強い分析、専門的なスキルがあり、決断力とコミュニケーション力に優れる。

6. コミュニティディレクター

・概要
コミュニティディレクターはコミュニティのプログラムやコミュニティスペシャリスト、マネージャー、ストラテジストを含むコミュニティチームを牽引する役割だ。コミュニティ運営の経験があり、その他のコミュニティチームメンバーと共にコミュニティの安全な運営に注力し、組織を横断したり、チームをマネジメントしたり、戦略的なプロセスとの調整を行う。

・職責
ディレクターはコミュニティのプログラムが無理なく行われることに注力する。運営に責任を持ち、コミュニティのロードマップを計画し、実行する。優先度が高いのはコミュニティ運営、コミュニティ内の啓蒙活動、導入、そして効果測定だ。

ディレクターの仕事の大部分を占めるのはコミュニティ運営のトップとしての仕事だ。経営陣やその他のステークホルダーにコミュニティの価値を理解させるために必要な情報を集め、コミュニティへの優先順位を元に整理する。しばしばディレクターが現場での責任を持つことや、コミュニティに関する経歴が価値を発揮することもあるが、彼らの仕事は戦略に則ったものが中心となる。

・チームで価値を発揮するために
優秀なディレクターは強いリーダーシップ、関係構築力、コミュニケーションスキルを持つ。

・適正
 理想的な候補者は15年以上の一般職経験があり、異なる職務と部下を持つ経験をしていて、6年間のコミュニティマネジメント経験がある者だ。ディレクターは強いリーダーシップ、啓蒙力、コミュニティチームを運営するのに必要なビジネススキル、コミュニティプログラムの管理、コミュニティのマインドセットをビジネスサイドに広報できることが求められる。

青木のコメント

アメリカではこんなに多くの役割に分かれているとは驚きですね。これなら1チームに5名のスタッフがいる、というデータにも納得ができます。また、キャリアパスも注目したいところです。こういったキャリアパスが整理できていると次に自分がどういった役割になるかがわかりやすいですね。一方でコミュニティの分野が既存の他のどの職種とも近くないかもしれないと思うのです。このマップの更に右にあるのはきっとChief Operation Officerでしょう。そうなるとコミュニティ関係の部署が大きくなっていかないと、日本的にいうところのコミュニティ担当から係長、課長、部長、事業部長みたいな流れが作れないかもしれないのです。裏を返せば自身が努力していくことで上のポジションをどんどん作っていけるダイナミックさはたまらないでしょう。

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