仙境に遊ぶ
幕末時代の日本、どういう訳か異境に関する体験記が一斉に流行り出し、昭和に至るまで、その系譜で語られる神様を掲げた新興宗教が山ほど登場してきました。
主なものを挙げてみましょう。
文化8年(1811年)、仙道寅吉が主人公の「仙境異聞(仙道寅吉物語)」が刊行されます。これは、仙人に連れられてあの世を見てきた少年の物語であり、後に続く宗教の教祖達が同じ様な体験を綴り、根本教典としています。
以下、雨後の筍のように設立された新興宗教を列挙していきます。
文化11年(1814年)黒住宗忠により黒住教、設立。
天保9年(1838年)中山みきにより天理教、設立。
嘉永4年(1852年)島田幸安が仙人に連れられてあの世を見てきたと喧伝。
安政6年(1859年)赤沢文治により金光教、設立。
文久元年(1862年)宮地水位が仙人に連れられてあの世を見てきたと喧伝。
慶応2年(1867年)澤井才亮が、秋葉天狗に連れられてあの世を見てきたと喧伝。
かように、仙人、天狗、または神の類いに連れられて(主に)少年が、その存在とともに空を飛び、日本全国を遊行、またはあの世を見てきたというモチーフが繰り返し語られています。
天理教、金光教など今日まで連綿と続く教団もあります。
筆者が関わりのあった天心聖教もまさしくこの系譜に連なる新興宗教でした(今は信心していません。)
「仙境異聞」に関しては稿を改めて書きたいと思います。
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