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弥勒菩薩

私が何度も足を運んだ広隆寺(太秦)。
そこの御本尊が国宝指定第1号の
「弥勒菩薩半跏思惟像」です。

正式には「木造弥勒菩薩半跏思惟像」
(宝冠弥勒)と言います。

半跏趺坐ですので、結跏趺坐(あぐら)
ではなく、片脚をもう一方の膝の上に
乗せている姿勢です。

思惟しています。考え事をしている
訳です。手はもちろん弥勒菩薩の
印を結んでいます。
私の生まれるちょっと前、
修学旅行生がこの指を折ってしまい、
当時大事件となり、慌てて修復した
との話を聞いたことがあります。

この像は美しいんです。長い時間
見ていても飽きません。
仏様なので性別はありませんが、
例えて言うなら「美少年」です。
(下世話な表現ですが)

赤松と一部樟の“一木造”で高さ約125cm。
仏教美術品として見た場合、
飛鳥時代作の国宝彫刻として、
その価値は計り知れないものがあります。

この仏様は珍しい未来仏(カルキ)です。

釈迦入滅後、56億7千万年の未来の仏です。
菩薩(Bōdisatva)なので、まだ悟りは
開いていません。我々衆生と同じ、
修行中の身です。

未来世界の救世主となるため、
修行をしているのです。

微かに笑った顔をされています。
何を観想していらっしゃるのか、
とても気になる所ではあります。

実は、弥勒菩薩半跏思惟像は
仏像の典型的な一形態であって、
他の寺社(醍醐寺等)でも見られますが、
広隆寺の中にもう一体安置されている
のです。

ここで書いた宝冠弥勒は、
「太子本願御形」と呼ばれるもので、
もう一方は宝髻弥勒(泣き弥勒)という、
金堂の本尊である薬師如来像仏像の
厨子内にあるものを指しています。
(以前は泣き弥勒の方が有名だった
らしい)

弥勒菩薩が二人もいるなんて、
まだまだ広隆寺には通わなくては
ならないようです。

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