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シークレット・ドクトリン

この書物は、マダム・ブラバツキーが
実在を主張した、「センザル語」による
「ジャーンの書」(アトランティスの叡智
を伝える世界最古の書物)の逐語訳に、
注釈を加えるという形式となっています。

のっけから胡散臭く、果たして本当に
あるのか疑わしい書物の名前が
出てきました。

ただその内容は、荒唐無稽で信じ難い
表現に満ちていながら、世界の各聖典
からの引用も含まれているため、
多分に宗教的なニュアンスが含まれて
います。

当初は「ヴェールを剥がされたイシス」
の改訂版として書き始められました。

全4巻の予定で、ほとんどできていたという
最終巻は刊行されていません。

2種類の版が存在します。一つは、
全2巻になる初版の復刻版です。

もう一方はアディヤール派によって
再構成されたアディヤール版で、
未発表原稿を含んだ膨大な作品と
なっています。

因みに私が読んだのは「復刻版」の方です。

さて、その内容ですが、第1巻では、
宇宙の創世が書かれています。

日本語訳にもよるのでしょうが、
非常に難解で、一読しただけでは
理解に苦しむものとなっています。

第2巻ではレムリア、アトランティス
といった超古代の大陸を舞台とした
「第四根源人種」の起源と霊的進化に
ついて書かれています。

また、それが現代の人類にどのように
繫がるかも書かれています。

これらは秘教的な学校で極秘裏に
伝えられてきた知識とされ、
「秘密教義」(シークレット・ドクトリン)といったタイトルもここから来ています。

霊的な師、クート・フーミやモリヤ導師
といった人達は、肖像画はあるものの
目に見えない存在です。

タネ本である「ジャーンの書」は、
チベタン仏教のタントラ(聖典)で
あるという意見もありますが、
真偽の程は分かりません。

当時、西欧で流布していた様々な
仏教の知識、経典の内容の寄せ集めに
すぎないとも言われています。

本書に叙述された人類史、根源人種論は、
ヒンドゥー教の影響がみられるものの、
かなり独創的な思想となります。

後年、ルドルフ・シュタイナーが
著した「アカーシャ年代記より」に
多大な影響を与えました。

ブラヴァツキーはニューエイジの祖とも
捉えられており、大著「シークレット・
ドクトリン」はオカルトへの思想的影響
から、20世紀ポップ・オカルティズムの
バイブルとも言える傑作だと言えます。

私は80年代にこの書に出会った後、
それに関わる書物を読み漁りましたが、
「シークレット・ドクトリン」には
「オーラ」「チャクラ」「サトルボディ」
と、全て網羅されていたため、
補完的な知識としかなりませんでした。

しかし、ブラバツキーが引用した
原典に触れることで、この荒唐無稽な
宇宙論、人間論の根底にあるものを
知ることができました。

この大著は、東洋と西洋の叡智の出会い、
東洋神秘学の西洋的解釈を知ることが
できる希有な書物なのです。

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