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質問箱013:落語の入口は?

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①落語はライブの芸能

おそらく日本で一番落語を見て聞いているであろう、堀井憲一郎さん(早稲田大学漫画研究会OBでもあります)は、落語というのは寄席などの空間の中でだけで存在する、と語っておられました。

確かに寄席に行って、生の落語を鑑賞することでしか、本当の落語というのは理解できないのかもしれません。とはいえ、常に落語が聞ける常打ちの寄席は、東京・大阪・神戸・名古屋ぐらいですので、地方出身者にはなかなか難しいですね。各地での落語の独演会とか、チャンスがあればそういう催しに出かけるのが良いと思います。

やはり落語はライブの芸ですから。ある独演会で聞いた時は、めちゃくちゃ面白かった落語家の高座が、後にCD化されて聞いたら、さほど面白くなかった……という経験があります。

逆に言えば、CDなどで今聞いても面白い昭和の名人たちは、ずば抜けていると思います。ただ、音だけで聞くと、初心者にはとっつきにくい部分もあるかと思います。最初は仕草や表情なども含めて、落語を体感した方が絶対にいいと思います。

②枝雀・志の輔・鶴光

個人的にはYouTubeなどで、演者の映像もあるタイプの動画から入るのが、良いとは思います。上方落語の桂枝雀師匠とか、松本人志さんも寝るときに聞くほど、本当に面白いです。自分は『幽霊の辻』など、いつ聞いても笑うほど。松本さんは立川志の輔師匠と枝雀師匠の、どちらか聞いて寝ると言っていますね。志の輔師匠も現代的で、どの話も面白いです。

文化放送で毎週日曜日に放送される『志の輔ラジオ 落語DEデート』は毎回、女性のゲストに志の輔師匠が縁のある演目を聞いていただくという内容です。演目のセレクトが良く、また演目や演者の解説もあり、志の輔師匠とゲストのトークも楽しいです。聞くきっかけとして、とても良い番組です。

個人的には笑福亭鶴光師匠も大好きな落語家で、福山雅治さんもトークの師と公言されている方です。軽妙な導入トーク(枕)と、講釈ネタの歯切れの良さで聞かせます。『和歌三神(西行鼓ヶ滝)』とか、笑いどころも多くて、でも作品の推敲とは何かを考えるのに、とても参考になります。

③やはり志ん朝の至芸

誰が聞いても、安定して面白いとなると、やはり古今亭志ん朝師匠になってしまいますね。声質の良さにリズムの素晴らしさに、子供から女性、嫌味な大家まで何でも上手く、しかもレベルがどれも高い。部分的に現代風にアレンジしてあり、語彙的に昭和の名人たちより、若い人は聞きやすいかと思います。

個人的な好みとしては、志ん朝師の弟子の古今亭志ん輔師匠が大好きです。『船徳』の完成度の高さに、心撃ち抜かれました。柳亭市馬会長も、寄せで聴くとその圧倒的な声量と雰囲気が、まさに本寸法の落語家という感じで。ドラマ『赤めだか』の立川談春師匠も好きな落語家さんですが。

最初はいろいろ聞いてみて自分の好みに合う落語家さんを見つけることが大事でしょうね。そういう落語家さんが見つかったらその人演目を徹底的に追いかけてみるのが良いと思います。そうしたら同じ演目の別演者を聞いてみて、違いを楽しむようになれば良いのではないでしょうか。

実際に寄せに行くと落語以外にも手品や太神楽などもあって、本当に楽しい空間ですよ。


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