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質問箱036:AI活用とこれからの漫画家

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①アシスタントのルーツ

難しい質問ですね。
未来予測って、難しいですから。
AIに関しては、一流のクリエイターや表現者の仕事はそうそう奪えないだろうな……と思いますが。

プロとアマチュアの境界線上の人達や、漫画だとアシスタントの仕事を奪うかも知れませんね。
理由はいくつかあります。
そもそも、手塚治虫先生以前に、専業アシスタントはほとんど存在しませんでした。

ところが、手塚治虫先生は何本もの連載を抱える売れっ子漫画家になり、戦後の漫画の在り方を変えてしまいました。

最初は、編集者などにベタ塗りなどの簡単な作業を手伝ってもらっていたのですが、やがて駆け出しの新人や仕事の手が空いている同業者に本格的に手伝ってもらうようになります。

②馬鹿とAIは使いよう?

また、週刊少年誌のサンデーとマガジンが相次いで創刊し、一躍漫画の中心的な存在に躍り出ます。
こうなるとアシスタントは、必須の存在になったのです。

現在、AIによるクリエイターの絵の無断利用が問題になっていますが――たとえば漫画家本人が自分の絵を、AIに学習させたらどうでしょうか?

それまでアシスタントに任せていたスクリーントーンの仕上げなどの作業から、効果線などはもちろん、簡単なモブシーンなどはAIに任せることも可能になりそうです。

これは、完璧に任せるレベルでなくても、下絵を80%とか90%のレベルで仕上げてくれれば、それだけで大幅な省力化になります。

③二流がAIに淘汰される

もちろん、アシスタントでも独自の技術を持っていて、この人の背景でないと再現できないとか、そういう他人にない技術を持っている人は、生き残るでしょうけれども。
人海戦術の数合わせに使われていた人は、仕事を失うでしょうね。

初音ミクが登場したとき、これはプロの歌手の感情を込めた歌い方には程遠いという、ミュージシャンの評価は多かったですが。
知り合いのミュージシャンは、「これは、楽譜を読めないアイドルのために仮歌を録音するような、中途半端なプロの仕事を奪うかも……」と語っていました。

これは、デジタルアシの出現で、通いの半端なアシプロが淘汰されたのに似ています。
ある漫画家さんが、デジタルアシを試しにつかてみたら、実は元プロで、でも廃業して故郷に帰って家業を継いだような人が応募してきて。

そうなると、通いのアシスタントより速い・上手い・交通費も食費も不要と、良いことづくめだったように。

④AIでアニメ化する漫画

また、AIの活用によって、それこそ漫画原作者が、キャラクターデザイナーを雇ってデザインした絵を、AIに学習させ、アニメを共同作業で作るように。
自分の書いた台本を元に、漫画を描く未来もあるかも知れませんね。
あるいは、小説家がそういう形で、作品を作るかも知れません。

もっと言えば、アニメーションの世界にも、革命が起きるかも知れません。
そうなったとき、作話能力がある人は、大きなポジションを占めるかも知れません。

そんな時代が来ても大丈夫なように、MANZEMI講座では作話と演出を、深く学べるカリキュラムを用意しています。


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