絵が上手いの基準
𝕏(旧Twitter)に、こんなポストが流れてきました。
①漫画の絵は記号
𝕏(旧Twitter)上では日々、オマエの絵は下手だなんだとと、喧嘩が絶えません。何を上手いと思うか、下手と思うかは、ただの主観でしかありませんから、不毛な議論なんですが。経験者とそうでない人間の視点の差は、ありますね。
これが漫画となると、物語やキャラクターの面白さではなく、やたら絵の巧拙を言う人が、増える印象です。
しかし現実問題として、例えばAmazonの売り上げ総合ランキングで、売れてるトップ100の作品って、だいたい絵が下手とか古いとか、言われがちですね。
編集者が思うほど、読者は絵を気にしていないようです。
それよりも、読みやすいか否かが、大事かと。
上手くて読みにくい作品より、下手でも読みやすい作品が、支持を得やすく。
また日本は、そういう作品を受け止めてくれる読者層の厚みも、あるかと。
②漫画が上手い作家
読みやすいというのは、内容が安直とか低レベルという意味ではなく。
読者がストレスなく作品を読んで、理解できるための表現技術や演出・構成の工夫が、随所に凝らされている作品のことです。
「絵が上手い」と「漫画が上手い」は、別の概念なんですよね。
映画の、脚本・監督・主演・助演・大道具・小道具・衣装・カメラ・証明・音響・音楽・演技力・構成力・演出力などを無視して、カメラマンの絵作りと役者のルックスだけ良くても、傑作にはならないように。
絵だけ上手くても、読者には届かないです。
映画やアニメを総合芸術とするなら、漫画は準総合芸術ですから。
漫画には音がない・動きがないという部分はありますが、だからこそ発達した部分もあるんですよね。音がないからこそ擬音の表現技術が発達し、動きがないからこそ動きを想像させるモンタージュ方法や効果線が発達したわけで。
③分かりやすさと上手さ
上條淳士先生の『TO-Y』や二ノ宮知子先生の『のだめカンタービレ』、ハロルド作石先生の『BECK』、はまじあき先生の『ぼっち・ざ・ろっく!』などなど、音がない漫画であるにも関わらず、大ヒットした音楽漫画があるように。
そんなことをつらつら書いていたら、こんなリプライをいただきました。
まさに、上手い絵を並べれば、漫画になる訳でではないんですよね。
イラストレーターが漫画を描いても、連環画っぽくなってしまいがちですね。
こう書くと、ファンが怒り狂って炎上させられるのですが、『風の谷のナウシカ』の第一巻も、コマ・セリフ・擬音をどの順番で読んで良いか戸惑う、小学生には相当に読みにくい漫画だと思います。
でも、小学生がスラスラ読めた藤子不二雄先生の『ドラえもん』や『パーマン』が、レベルの低い漫画家と言えば、そんなことはなく。
ドラえもんとか、その時代の科学的なネタを多数取り込んでいて、かなり難しい概念も、わかりやすく説明していますね。
これは、あさりよしとお先生の『まんがサイエンス』も同じです。
わかりやすい=レベルが低い、ではありません。
以下は諸々、個人的なお知らせです。読み飛ばしていただいても構いません。
筆者の小説(電子書籍版)でございます。お買い上げいただければうれしゅうございます。
文章読本……っぽいものです。POD版もあります。
筆者がカバーデザイン(装幀)を担当した、叶精作先生の画集です。POD版もあります。
投げ銭も、お気に入りましたらどうぞ。