見出し画像

絵が上手いの基準

𝕏(旧Twitter)に、こんなポストが流れてきました。

絵を描く人間が思う「絵が上手い」が絵を描かない一般層から見ると「絵が上手い」にならないケース(むしろ下手と思っていることが多い)、けっこうたくさん見てきたし、自分は絵を描き始めるのが遅かったせいで二十歳くらいまでは後者側だったのでそのころの記憶もある。
ここは常に気を付けていきたい。。。 RT

https://x.com/yam_owl/status/1822748389379047552


①漫画の絵は記号

𝕏(旧Twitter)上では日々、オマエの絵は下手だなんだとと、喧嘩が絶えません。何を上手いと思うか、下手と思うかは、ただの主観でしかありませんから、不毛な議論なんですが。経験者とそうでない人間の視点の差は、ありますね。

これが漫画となると、物語やキャラクターの面白さではなく、やたら絵の巧拙を言う人が、増える印象です。

しかし現実問題として、例えばAmazonの売り上げ総合ランキングで、売れてるトップ100の作品って、だいたい絵が下手とか古いとか、言われがちですね。
編集者が思うほど、読者は絵を気にしていないようです。

それよりも、読みやすいか否かが、大事かと。
上手くて読みにくい作品より、下手でも読みやすい作品が、支持を得やすく。
また日本は、そういう作品を受け止めてくれる読者層の厚みも、あるかと。

②漫画が上手い作家

読みやすいというのは、内容が安直とか低レベルという意味ではなく。
読者がストレスなく作品を読んで、理解できるための表現技術や演出・構成の工夫が、随所に凝らされている作品のことです。

「絵が上手い」と「漫画が上手い」は、別の概念なんですよね。

映画の、脚本・監督・主演・助演・大道具・小道具・衣装・カメラ・証明・音響・音楽・演技力・構成力・演出力などを無視して、カメラマンの絵作りと役者のルックスだけ良くても、傑作にはならないように。

絵だけ上手くても、読者には届かないです。
映画やアニメを総合芸術とするなら、漫画は準総合芸術ですから。

漫画には音がない・動きがないという部分はありますが、だからこそ発達した部分もあるんですよね。音がないからこそ擬音の表現技術が発達し、動きがないからこそ動きを想像させるモンタージュ方法や効果線が発達したわけで。

③分かりやすさと上手さ

上條淳士先生の『TO-Y』や二ノ宮知子先生の『のだめカンタービレ』、ハロルド作石先生の『BECK』、はまじあき先生の『ぼっち・ざ・ろっく!』などなど、音がない漫画であるにも関わらず、大ヒットした音楽漫画があるように。

そんなことをつらつら書いていたら、こんなリプライをいただきました。

その昔ザ•モーションコミック
というアニメーターにマンガを
描かせようという雑誌がありました
文句なしに絵は素晴らしいのですが
幾つかの名作を世に出したものの
雑誌自体は長続きしませんでした😢

https://x.com/ichimonjitanago/status/1823248496746475651

まさに、上手い絵を並べれば、漫画になる訳でではないんですよね。
イラストレーターが漫画を描いても、連環画っぽくなってしまいがちですね。

こう書くと、ファンが怒り狂って炎上させられるのですが、『風の谷のナウシカ』の第一巻も、コマ・セリフ・擬音をどの順番で読んで良いか戸惑う、小学生には相当に読みにくい漫画だと思います。

でも、小学生がスラスラ読めた藤子不二雄先生の『ドラえもん』や『パーマン』が、レベルの低い漫画家と言えば、そんなことはなく。

ドラえもんとか、その時代の科学的なネタを多数取り込んでいて、かなり難しい概念も、わかりやすく説明していますね。
これは、あさりよしとお先生の『まんがサイエンス』も同じです。

わかりやすい=レベルが低い、ではありません。


以下は諸々、個人的なお知らせです。読み飛ばしていただいても構いません。

筆者の小説(電子書籍版)でございます。お買い上げいただければうれしゅうございます。

文章読本……っぽいものです。POD版もあります。

筆者がカバーデザイン(装幀)を担当した、叶精作先生の画集です。POD版もあります。
投げ銭も、お気に入りましたらどうぞ。


いいなと思ったら応援しよう!

篁千夏
サポート、よろしくお願いいたします。読者からの直接支援は、創作の励みになります。