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DIDI(滴滴)の成功と、luckin coffeeの失敗から見るボーナス戦略

現在の一般的な評価で見ると、DIDI(滴滴)は成功し、luckin coffeeは失敗していると言える。今回はこの成功・失敗について具体的に言及するものではなく、同様の戦略をとった両者で、なぜluckin coffeeは失敗したのかについて見てみたい。

両者、独占による競争優位を形成し、ネットワーク効果を生かそうとしていたが、結局 luckin coffee は競争優位を形成できなかった。その理由としては主に 2 つの要因があったと思われる。

①コーヒーという商品
コーヒーは嗜好品であり、飲むという行為自体にも意味のある商品である。私自身あまり味に対してこだわりがないが、ランチの後には毎日のようにコーヒーを飲んでいる。特に上海で仕事をしていた時などは、必ずセブンイレブンでコーヒーを買っていた。とても体験性・儀式感の強い商品である。

それに比べ、タクシーはそういった儀式感は必要なく、体験において必要なことは、安全性・効率性・衛生・リラックスなどが満たせれば十分である。DIDIは使いやすい、まあまあ良い程度で、消費者は使い続ける。

コーヒーはそれではダメ、消費者に忠誠心はなく、本質的に中性的で、クーポンや値引きなどにひかれる。

②実店舗の存在
DIDIとの違いで言えば、もう一つは実店舗の存在。DIDIの場合、ユーザーが増え、タクシーも増えれば、それに伴い、タクシードライバーの需要も高まり、ドライバーのコストは低くなっていくはずである。

実店舗をもつ、luckin coffee の場合、店舗コストは高く、また店舗の数にも限界がある。さらに1店舗増やしたとして、ユーザー数は2倍になるわけではない。もしクーポンを停止してしまえば、店舗の増加速度も止まり、ユーザー数も減り、利益も減っていき、ネットワーク効果を生めなくなり、通常の利益となってしまう。

●その他、追加で
luckin cofeeの最後の特徴としては、APP。店舗は受け取る場所であり、APPを通して購入するようになっている。これも素晴らしい方法であるが、スタバでも同様の方法が可能になっており、競合の参入も多い。これではネットワーク効果を発揮することは難しい。

これまで見た来たように、ボーナス戦略を考えるときは、ネットワーク効果が得られるかどうかを考慮する必要がある。効果が得られればそれは戦略となり、なければただの販促手法となる。

luckin coffeeは、そのビジネスの性質上、ネットワーク効果を生むことができず、崩れてきていると言えるのではないだろうか。

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