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平隊士の日々 元治元年卯月六

元治元年卯月六


明け七つに目が覚め、布団をかたずけ、掃除。

朝ご飯の準備を始める。
お米を研いだら、井戸水にさらして置く、
薪の準備をして、ご飯を炊く。
昨日のうちに届いた、貝の佃煮を取り分ける。
味噌汁は、桃山大根の葉も入れて作る。
前川邸にある瓶から、引っ張り出した梅干しも付ける。

朝食、貝の佃煮、大根の味噌汁、梅干し、ご飯。

本日の隊務割。
午前は南巡察、午後は当直、夜は東巡察。
土方副長より、荒木信太朗が一番隊に移動になった。
一番隊はここのところの隊務でけが人が多い。
まぁ、うちの組は一人多いから仕方が無い。

二番隊と巡察に出る。
永倉組長が、
「ここのところ六番隊の捕縛が多いんじゃねえか。」
「巡察の情報ではなく、出会い頭が多いので、
二番隊もそのうち大捕り物があるさ。」と井上組長。

確かに、不逞浪士の動きが活発になっている。
そんなことを言っていたら、
東寺西門通りの路地を浪人らしき人影を発見、
二番隊が駆けつけるが逃げられる。
その後は特に何もなく、屯所に戻る。

昼食、干物、佃煮、味噌汁、梅干し、ご飯。
今日の賄は確か、七番隊、朝食と同じようなおかずが多い。

当直、いつでも出れる用意をして、稽古。
一番隊が、応援なしで西巡察中に浪士二人を捕縛、食い詰め浪人らしい。

夕食、牡丹鍋、お浸し、梅干し、ご飯。

夕食後、東巡察、鴨川沿いには、問屋、旅籠、料亭などが多く、
浪士かと思い声を掛けると、紀州藩士だったり、薩摩藩士だったりで、
特に何もなく、屯所に戻る。

井上組長が酒を持ってきたので、少し飲み、
「そういえば、刀はどうしました。」と問えば、
「皆が、賄をしている間に買ってきた。」と、前に置き、抜いて見せた。
刀の良し悪しはよく分からないが
「良い刀ですね。」と言うと、嬉しそうなので、良かった。
藤沢が、
「十両はするんじゃないか。」
組長が、
「いや、いや、十二両だった。」など、楽しそうだ。
話しているうちに眠くなり寝る。


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