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平隊士の日々 元治元年卯月十三

元治元年卯月十三  


森がやっと起きれるようになった。
しかし、本調子とは言えない。
井上組長が、
「今日も休んどけ。」と言う、
「お言葉に甘えて休みます。」と森。
井上組長の顔色は相変わらず悪い、
咳も止まっていない。
土方副長が、井上組長に、
「休め、休め。」と言うが、
なかなか、うんと言わない。
山南総長が、俺が変わるから、休めと言い、
やっと、休む気になった様だ。
多分、僕たち平隊士が心配で休めないのだろう。
もっと、頑張らねば。
土方副長と山南総長との稽古。
副長の攻撃は容赦がなく、
相変わらず、防具のないところに竹刀が飛んでくる。

朝食、黒豆、竹の子の煮物、さつまいもの甘露煮、すまし汁、かす漬け、ご飯。
甘いおかずが多く、おなかに優しい。

本日の隊務割、
午前は南巡察、午後は西巡察、夜は当直。

山南総長に、
「今日の死番は誰だ。」と聞かれ、
「僕です。」と答えたところ、
「そうか、俺より前に出るなよ。」
やはり、剣技が劣るので、信用がないのかと思った。
「源さんから預かっている隊士だから、
怪我はさせたくないからな。」と笑っていた。

九番隊と南巡察に出る。
前回の巡察の時に気が付いたのだが、
一人、大阪なまりがある隊士がいる。
見た目は、三十過ぎ、ひょろっと背が高い。
昼食の後にでも聞いてみるか。

東九条川辺町付近で、浪士らしき人物を見かけるが、取り逃がす。
近所を捜索するが見つからない。
監察方に任し、巡察を続ける。
屯所への帰り道、山南総長が振売りから、おはぎを買い、
源さんに食わせると言っていた。

昼食、きんぴら、天ぷら、ウドの酢和え、ゆで卵、味噌汁、漬物、ご飯。
山南総長が、食事に来ない井上組長の膳をもっていった。
多分、おはぎも食べさせるのだろう。

知り合いの九番隊の隊士にそれとなく聞いたところ、
名は、柳田三二郎と言い、大阪出身とのこと。
今度、碁にでも誘ってみるか。

午後は十番隊と西巡察、
山南総長が遅れてきた。
「わるい、わるい、源さんがなかなか食べないので遅くなった。」
いつもと同じ順路で回る。
帰り道、総長が番人小屋で芋の切り売りを買っている。
組長の顔色が悪いままなので、甘いものが良いだろうと言っていた。

夕食、芋煮鍋、天ぷら、酢昆布、漬物、ご飯。
天ぷらは昼の残り物ではないかな。
鍋に天ぷらを入れる隊士が多いので、鍋が油っぽい。

当直なので、総長と稽古。
監察と二番隊が巡察から、戻って来たので当直終了。

柳田のところへ行って、大阪の話をした。
大阪が少し懐かしい。
お酒を飲んで寝る。


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