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うめこの伝説、ふたたび

うめこは、高校を卒業する時に、
短大か専門学校と迷ったが、専門学校を選んだうめこ。
都会の専門学校へ通い始めた。 
動物のトリマーを目指す、そんな学校だ。 

住んでいるのは、ロフト付きのワンルームマンション。 
天井に窓があるのを気に入って、すぐに決めた。 
生活のほとんどを、ロフトで済ます。 

部屋にはソファーとガラステーブル、 
そしてお気に入りのスタンドライト、ほかには何もない。 
おしゃれな女子が住む部屋、自分がおしゃれに見える。 

プリーツのロングスカートのすそをつまんで挨拶するような、
彼氏が出来たら良いなぁと夢は膨らむ。

仕送りと、バイトのお金で何とか生活と学費はまかなえるが、
あそびにいくことも、映画を見ることも、高校時代より少くなった。
その分、自由が増えたような気がするうめこだった。

久々の休日、バイトも休み、学校もない。
ロフトの布団の上で伸びをして、今日は陽が出ていない、
曇りか?雨か? 表に出る気にもならないので、DVDを見る。

タンクトップに下着もつけずに、ショートパンツ。
寝転がると、まるい乳房が見える。 
思ったより肉付の良いヒップと長く伸びた足。
18才のうめこそのものだ。

あっと小さくうなずくと、
冷蔵庫から冷やした水と食べ残しのケーキを持って、
寝転がりながら、
DVDを見ながら、美味しそうにケーキを食べる。

休日の過ぎるのは早い、三作品もDVDを見たら夕方になる。
夕食はどうしようかなぁ。
近所にある中華屋か、居酒屋で定食か、迷う。 

結局、居酒屋で夕食にすることにした。
タンクトップの上にジャージを羽織り、
サンダルを突かけ、財布を持って表に出ると、
今にも降りそうな曇り空。 
傘を持とうか、迷ったが、濡れるよりましかなと思い、
傘を持って出る。 

いつもより、遅い時間の居酒屋は混んでおり、酔っ払いが多い。
やめようかと、きびすを返そうとしたら、
お店のおじさんが、ここ空いたよと声を掛けてくれた。
6人掛けに4人が座る、相席だ。

魚定食を頼み、ぼんやりTVを見ていると、
相席のおじさん達が飲み過ぎで、
いやらしい目で舐める様に見ているのに気がついた。

ブラジャーを忘れたうめこのジャージには、
丸い乳房と小さな乳首が上を向いているのが分かる。
ブラジャー位はしてくればよかったと思ったが後の祭り。
腕で胸を隠そうとしたが、かえって、胸を目立たせる。

酔っ払いのおじさんが、隠すなよとか、可愛い乳だなぁとか、
触らせてくださいと言っては、下品に笑う。

サッサッとご飯を食べて、帰ろうと思う。
おじさんはビールを差し出して、飲めよと、
「未成年だからダメです。」と断るが、しつこい。
そのうち、腕を触ったり、手を押さえ様としたり、
段々、大胆になり、終いには肩を掴んで揉む真似をする。
うめこも我慢の限界が近づいている。
後ろに回った親父が、手が滑ったと言い、ジャージに手を入れて来た。

どこかで、ブツンと何かが切れた音がした。
うめこは目の前のビール瓶をつかみ、振り向きざまに、
親父の頭あたりに振り下ろす。
ボキッと骨が折れる音がした、頭を外して鎖骨を直撃したのだろう。
肩が外れたように腕がだらんと下がった親父が、泣き叫ぶ。
「うるさい!あたしの方が泣きたい!」
眼の前の親父が興奮して、テーブルの上のモノを投げ始める。
ビール瓶から垂れてくる、ビールを舐めて、
「やるのか、このくそ親父!」と叫び、ビール瓶で払い落す。
皿が割れる音、後ろで泣き叫ぶ親父。
これはさすがにまずいと思ったうめこは、表へ駆け出す。
後を追いかけて出てくる親父の足を、低い回し蹴りで払うと、
親父は表の看板に頭から突っ込んだ。
大きな音がして、親父の顔が看板にめり込む。
血を流しながら、頭を出そうともがく、親父。

お店の店主と常連客が、残った親父を説得し始めた。
店主が、警察が来る前に帰りなさいと、困ったように言ったので、
傘を持って、とぼとぼと帰る。

交差点を曲がったところで、
後ろから、追いかけてくる足音が聞こえ、声を掛けてきた。
「すいません。
私、総合格闘技の団体に所属している者ですが、
お店の人に聞いたら、近所に住んでいるうめこさんですよね。」
「そうですけれど、何か?」
「何か、格闘技をやっていましたか?」
「いいえ、特にやっていません。」
天性のモノかと納得しながら、名刺を差し出し、
「もし、興味がありましたら、ここに電話をください。」
あまり、興味もないうめこは生返事をする。

数日が過ぎ、専門学校の授業にも何となく身が入らないうめこ。
名刺を眺めては、
「どうしようかなぁ」とつぶやく。

ロフトの天窓から陽がさして、ロフトが暑いくらいだ。
いつもの様に、タンクトップとショートパンツのうめこ。
額には汗が流れている。
腕を伸ばして、陽の光を遮りながら、眉間にしわを見せて、
「どうしようかなぁ」とつぶやく。
汗で貼りついたショートパンツからは長いしなやかな足が伸びる。
タンクトップからは、汗をかいたわきの下と胸のふくらみが見える。
また、「どうしようかなぁ」とつぶやく。
居酒屋の一件から一週間、警察も来ないし、
お店の人がうまく対応してくれたのだろう。
「うん」と言い、携帯をつかむと電話を始める。

うめこの伝説がふたたび、動き出した。

・・・
これは創作で、主人公に似た名前の人もフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。 
あくまで、妄想ですので事実と誤認しないようにお願いいたします。
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