平隊士の日々 元治元年卯月十八
元治元年卯月十八
起きて、掃除をしていたら、井上組長が来た。
「八番隊の隊士が腹下しで人が足りない。
うちから、三人ほど手伝いに行ってほしい。」
森と阿部と中村小次郎が手伝いに行くことになった。
組長が森に、
「今日は森は死番だから、巡察には来るんだぞ。」
森は、一日、賄かと思ったらしく、残念そう。
残りは稽古。
朝食、たくあん、梅干し、味噌汁、ご飯。
本日の隊務割、
午前は当直、午後は西巡察、夜は当直。
当直と言うことで、いつでも出られる準備をして、稽古。
特に何もなく、
昼食、アサリの佃煮、たたみイワシ、昆布煮、味噌汁、ご飯。
午後は、四番隊と西巡察。
監察よりの情報で、
金閣寺の方に浪士が集まっている旅籠があると言事で、
直接、旅籠に向かう。
旅籠に着くと、
我々、六番隊が表側、
四番隊の松原組長たちが裏側に配置。
井上組長の「御用改め」との声とともに、
刀を抜いて森の後ろから旅籠に入る。
ずかずかと、中に入るが、浪士らしき人物はいない。
監察方の山崎さんも、
「今日は、浪士はいないようだ。」ということで、
西巡察をしながら、屯所に戻る。
井上組長が
「山南総長にお土産だ。」と言い、羊羹ときんつばを買う。
夕食、しゃも鍋、ご飯、大根の餡かけ、たくあん。
当直と言うことで、
いつでも出られる準備をして稽古。
番所から、一之船入町で斬りあいになってるとの連絡があり。
急いで、向かうと、一番隊が浪士四人と斬りあいになっており、
沖田組長が、井上組長に、
「薩摩脱藩浪士だ。注意しろ。」と声を掛ける。
二人の浪士が倒れているので、
とりあえず、浪士二人を捕縛し、
森の後ろについて、
一番隊の左側で浪士に逃げられないように回り込む。
浪士は落ち着いており、沖田組長もなかなか斬り込めない。
一番隊に移動した伊木八郎が斬り込むも、いなされ転がる。
そこへ、沖田組長の突きが入り、よろけたところを捕縛。
残りの浪士は逃げようとしたが、あちらこちらを斬られて、捕縛。
一番隊の佐治寛と言う若い隊士が腕を斬られており、
六番隊から移動した、荒木が傷の手当をしている。
浪士を連れて屯所に戻る。
土方副長や監察方はこれから浪士の尋問だ。
少し興奮して、森が、
「示現流を初めて見た。
沖田組長でも斬り込むのは難しそうで、原田組長の言うのは当たっている。」
「僕らの剣技では簡単に斬られる。もっと稽古をしないと。」
「そうだな、もっと強くならないと、強い浪士にやられてしまっては、
京都の治安は維持できないものな。」
そんなことを話しながら、
軽く酒を飲み、寝る。