平隊士の日々 元治元年卯月二十五
元治元年卯月二十五
二日続けての死番はいやだなぁと思いながら、起き、掃除して稽古。
朝食、お豆腐、茄子の煮浸し、胡瓜味噌、大根の味噌汁、ご飯。
本日の隊務割は賄。
井上組長が、何か美味いものが食べたいと言い、皆で考える。
森が、
「そう言えば、振り売りで蛤を見た。
焼き蛤とか、蒸し蛤はどうでしょう。」
「そうだな、それが美味しそうだ。」
また、森が、
「加茂茄子の田楽とか、まだ唐辛子も見かけたから添えれば良いのでは。
あと、新茶が出始めているので、茶粥とか。」
加藤が、
「芋が土間の隅に転がっていたな、茶粥に芋を足すのはどうでしょう。」
井上組長、
「よし、それでいこう。」
手分けして、お茶とか、隊士分の蛤を買いに行く。
井上組長と蛤を買いに行く組になった。
あちらこちを探したが、隊士全員分の蛤が集まらない、
そこで、
「とり貝も混ぜて、貝蒸しにしましょう。
あと、水菜や壬生菜を下に敷いて、蒸せば美味しいのでは。」
「じゃぁ、野菜も買おう。」となり、
とり貝や蛤など大きめの貝をたくさん買う。
屯所に戻り、昼食の準備。
ご飯を茶粥にするのだが、
その前に、芋を蒸し焼きにして皮をむく。
お茶は煮だして、鍋に入れたご飯にかけ、粥にする。
粥に、芋を足して、塩で味を調える。
土鍋に水菜や壬生菜を敷き詰めて、貝を置き塩を振り、ふたをして蒸す。
田楽味噌を作り、
加茂茄子と唐辛子を蒸して、田楽味噌を塗り皿に盛る。
皆でワイワイ作っていると昼になり、
昼食、芋入り茶粥、貝の土鍋蒸し、加茂茄子の田楽、新茶、漬物。
夕食の準備までの時間に皆で湯屋へ行く。
湯屋でも、夕食の話、
「昨日がしゃも鍋だったから、今日は別のものが良い。」と言う話になり、
「牡丹鍋か、ご飯がかなりあるから、残らないようにしないと、」
森が言うには、
「昼間見かけた、グジと言う魚の干物が美味しそうでしたけど。」
組長が、
「魚か、鮟鱇ぐらいしか鍋で食べたことはないなぁ。
まぁ、良いか、そのグジで鍋にしようか。
ほかには、ないかな。」
僕が、
「叩き牛蒡とか、いり卵はどうでしょう。」
「じゃぁ、いり卵がいいな。漬物も買ってこないとな。」
湯屋の帰りに、買い物をして帰る。
夕食の準備、グジの干物は軽くあぶって、ちぎり、
一緒に買った、水菜と鍋に入れ煮る。
生麩も入れて味を見て、塩を足す。
いり卵作り、漬物を皿に盛る。
夕食、グジ鍋、いり卵、漬物、ご飯。
食事をかたずけていたら、近藤局長が来た。
「非番の一番隊と二番隊と賄の六番隊の隊士達と
島原の角谷に行こう。」と呼ばれた。
局長を筆頭に沖田組長、永倉組長、井上組長と、
平隊士がぞろぞろと島原に向かう。
角谷で宴会、たくさん飲んだ。
屯所に戻り、寝る。