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平隊士の日々 文久四年(元治元年)弥生二十五

文久四年(元治元年)弥生二十五 

 
昨夜に酒を飲んだせいか、喉が渇いて早くに目が覚めた。
そのまま、布団をたたみ、掃除をして、
井戸端で顔を洗い、口を漱いで稽古に出る。
さすがに、誰も稽古場にいない。

木剣を取り、素振りを始めたら、井上組長が来た。
素振りを見ていた組長が、
「持ったところから力が入りすぎている。
打ち込む瞬間まで、軽く持ち、
打ち込む瞬間に左腕を締めるように力を入れるのが正しい素振りだ。
昨晩、ずーと力を入れて刀を持っているから、
刀が離せなくなるんだ。
ちゃんと剣術を習っていない素人剣術じゃ、
これから巡察についてくのが大変だぞ。」
組長に言われたことを気にしながら素振りを続ける。

朝食の後に勤務割、本日、六番隊は賄とのこと。

組長に聞いたら、持ち回りで食事を作るらしい。
一人一食三十五文を目安に、今日の昼と夜、明日の朝を作る。
三十五文と言ったら、下女の一日の手当相当の割には、
鍋が多いのは隊士が作るからか。
組長に聞いたら、「君の方が料理は詳しそうだから任せる。」と、
昼は焼き魚が良いが、高いかもしれない。
昼に魚が出ると夜が鍋な理由はこんなところにあるのかも。
夜は水菜か壬生菜の鍋で、しゃもは苦手なので、つくね芋の鍋が良い。

みんなでワイワイ料理をしていたら、すぐに昼になった。
昼食は焼き魚に、味噌汁、かまぼこ、こんにゃくの白和え。

午後は、つくね芋の良いのが欲しいので丹波方面に行ってくる。

夕食、つくね芋と壬生菜の鍋、昆布巻きが近所で売っていたので昆布巻きも出す。
ご飯を鍋に入れる隊士が多いので、冷や飯を軽く蒸しておいた。

夕食後、組長からも隊士達からも評判が良い。
夕食も終わり、明日は朝稽古なしで朝食つくり。
昨日のこともあり、早めに寝る。

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