見出し画像

平隊士の日々 元治元年卯月四

元治元年卯月四


目が覚めたら、藤沢は布団をかたずけ、座っていた。
森を起こし、布団をかたずけ、掃除して、稽古に向かう。
藤沢は道場に通っていたので、素振りも、打ち込みも、巧い、
その上、弁も立つ。
我々、商家上がりの隊士とは違うようだ。
井上組長が嬉しそうだ。

最近は、一番隊と三番隊は朝稽古に来ないことが多い。
井上組長の話だと、夜間巡察が多く、朝稽古は強制ではないらしい。
まぁ、一番隊と三番隊は精鋭部隊なので、
技量も高く、問題は無いのだろう。

朝食、煮しめ、味噌汁、漬物、ご飯。
水の量を間違えたのか、ご飯が柔らかい。
鈴木組長が松原組長に文句を言ってる。

本日の隊務割、午前が当直、午後が東巡察、夜に西巡察とのこと。
いつでも出れるように準備をして、井上組長と稽古。

七番隊と十番隊が、西巡察の途中の丸田町あたりで、
浪士を見かけたが逃げられたとのこと。
二番隊と九番隊が、東巡察の途中の妙雲院あたりで、
浪士を見かけたが逃げられたとのこと。
早い時間から浪士が出没している。

昼食、焼きウナギ、さやえんどうの味噌汁、
昆布巻き、菜花のお浸し、千枚漬け、ご飯。

午後は東巡察、僕が死番なので頑張ろう。
しかし、毎日毎日、浪士が現れる。
副長が言っていた様に、
近々、大きな捕り物があるかもしれない。

八番隊と東巡察に出る。
五条通りを東に行き、鴨川沿いに、路地を確認しながら北上。
一之船入の材木問屋に浪士が入っていくのを見つける。
井上組長が、森に
「番所にいる監察方に連絡して、応援を呼べ。」
藤堂組長が
「八番隊は表から突入するから、六番隊は裏を抑えろ。」と
準備出来た頃、突入するとのこと。
材木問屋なので、裏は運河、回り込む道もない。
仕方ないので、井上組長が三軒先の店の中を突っ切って行く。
我々も続いて店の中を通り向け、運河の土手を進む。
裏に着いた着かないかのうちに、御用改めの声が響き、
部屋内で争う音がする。
二階の障子が空き、浪士が逃げようとこちらを見た。
我々が刀を抜いて、待っているのを見て躊躇しているが、
後ろから、八番隊が斬りこんだのか、浪士二人が落ちてくる。
すかさず、斬りこみ、おとなしくしろと叫ぶ。
足でも怪我をしたのか、おとなしく捕縛される。
その後、井上組長に続いて、裏から問屋の中に入っていくが、
藤堂組長が、二名切り伏せ、三名捕縛したとのこと。
裏で二名捕縛したので、全部で七名、捕縛した浪士の話では、
十三名集まる予定だが、時間が早く、十名しかいなく、
大物は来ていないとのこと、三名は逃げたようだ。
浪士の手当をして、屯所に戻る。
八番隊の三品次郎が怪我をしていたらしいが詳細不明。

夕食、お茶漬け、蒲鉾、豆腐の煮物、漬物。

初めての夜の巡察
昼間と同じ八番隊と出かける。
監察方からの情報は特にないので、
飯屋や旅籠などを重点的に巡察する。
午後の巡察でけが人が出たので、一名少ない。
特に何もなく、屯所に戻る。

みんなで軽く酒を飲む。
藤沢曰く、
「攘夷はしなければいけない。
神国である日の元は夷狄の入る国ではなく、
鎖国を是とし、我々が礎となり・・・」
色々、言っていたが、良くは理解できない。
少なくとも新選組は京都の治安維持を行うことで、京都を守り、
強いては、将軍様をお守りすることになるのだろうと言う事は分かったが、
藤沢の話を聞いている内に眠くなり寝る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?