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【読む】おやつマガジン issue#3 大地に根をのばして

おやつマガジン最新号は「大地に根をのばして」特集。農や食にまつわる人々にたくさん取材しています。なんとなくこれまでのおやつマガジンと印象の違う表紙と佇まいに、本屋で一目惚れしました。

目次には「りんごを巡る ふたりの旅」や「新世代ファーマーの生きる道」「“農”にまつわる、たいせつな話」といった言葉が並びます。いまの自分の興味関心とぴったり合っていて、その言葉を丁寧に追います。

本書の魅力を語るために、あえて少しだけ迂回ルートを通りますが、私は「勇気を出す」という言葉が好きではありません。より正確にいうと疑っています。「勇気」なるものはこの身体のどこにあるのだろうと。しかし、はたから見て勇気ある行動をとっている人がいるのは事実です。でも彼らのようになるのに必要なのは、「勇気を出す」ことではなく「情報を集める」ことだと思っています。
「情報」を集めれば、私たちは一歩ずつ前に足を運べます。仕事帰りの夜道を迷いなく歩けるのは、その道の「情報」を持っているから。宇宙人がその風景を見たらこんな暗い道をずんずん進んでいけるなんて、なんて勇気のある生き物なんだ…なんて思うかもしれません。

これまでとは違うフィールドで挑戦することや、新しい働き方にチャレンジするときも必要なのは「情報を集める」ことで、強いて言うならあつめる「覚悟」をして行動に落とし込むことです。そんなことを思っています。

回り道しましたが、本書には農にまつわるいろいろな「生き方」が「情報」としてコラージュされています。とくに、おじいちゃんおばあちゃんというよりは次世代を担う若いファーマーたちが中心に取り上げられており、彼らの「これまで」や「いま」のリアルが綴られています。

その「情報」の断片が蓄積していって、自分のなかでもくもくと発酵するのを待つような気分です。その先に、たぶん、新しい一歩がある気がします。

最後に本書の中から少し引用します。

日本は農業大国だ。ゆえに慣例とされるもの、歪みが生じているのにそのままになっている問題の存在、大きなしがらみもある。しかし、そんな大きな流れに危機感を感じ、立ち向かうように自分たちが正しいと信じる農業を実践する人たちが存在する。それはまだ小さな湧水のようなものかもしれない。(p33より)

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