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【授業紹介】個人プロジェクト:ちょっとしたサプライズを仕掛けてみました

地球市民学科(地球市民学部)の学生は、ひとりひとりキャンパスの外に出て、社会課題の解決に取り組みます(「プロジェクト」と呼んでいます)。そのために学生は、学外の方にメールでアポを取り、取材を申し込み、インタビューをさせていただきます。この基本動作を修得するのが、1年次の必修科目「個人プロジェクト」です。

5月28日の授業ではまず、メールでの取材申し込みの練習をしました。メールの題名や本文の書き出しをどうするのか。一からメールを書いてみました。「取材の目的は何か」に加え、「なぜ、その取材をしたいのか」をきちんと書くこと、教員からの推薦や紹介であれば、その旨を早めに書き込んでおくことなどを共有しました。

そして、広告会社や外資系企業に勤めたあと、今はNPOで活躍する今井明弘さんにご協力をお願いして、実際に取材申し込みのメールを送らせていただきました。

今井さんに送ったメールの文面の一部

事前にご相談していたこともあり、今井さんから、すぐに取材OKのご返事をいただきました。

今井さんからのご返事

メールでの取材申し込みは成功です(お願いしていたので当然ですが)。学生に取材OKの返信が来たことを紹介すると、拍手が上がりました。

この一連のプロセスだけでも、よい経験だと思いましたが、みんなをちょっとびっくりさせたいなと思って、学生には内緒で、メールの返信をいただいた直後に、今井さんご本人に教室に来ていただきました。

学生のみなさん、今井さんが教室の扉を開けて入ってきた瞬間、「ご本人です」と紹介すると、驚きの声が上がりました。ふふふ、サプライズは成功でしょうか?(今井さんには教員の研究室で待機していただき、メールに返信をしたら、すぐに教室に来ていただけるよう仕込んでおきました)

ご本人の登場を内緒にしていたのは、サプライズのためだけではありません。ゲストをお呼びしていることを告知すると、学生のみなさんがメールの文面や質問を考える際、構えてしまうかもしれない、硬くならないように、という配慮でもありました。

もちろんサプライズで終わりではありません。今井さんには、NPOでの今のお仕事(親を頼れないこどもたちの支援)やこれまでのキャリアについてお話していただきました。最後に学生からグループごとにインタビューをさせていただきました。

マイクを持っているのが今井明弘さん

「今の仕事で一番心がけていること」や「今までの仕事でやりがいを感じたこと」といった学生からの質問に対し、今井さんはひとつひとつ丁寧に言葉を選んで答えてくださいました。学生の反応を少しご紹介します。

「今井さん、お話ありがとうございました。サプライズ登場でとても驚きました。私と同じ年齢の子が辛い状況に置かれていることやこのことに対して取り組んでいる企業があることを初めて知りました」

「後半の今井さんのサプライズ登場にはとても驚きました。私の興味がある分野が『当事者がかわいそう』と感じることが多い傾向があるので、今井さんへの質問コーナーで『かわいそうと思わないこと』という回答をいただき、私もしっかりそのことを意識して取り組んでいきたいと思いました」

「講義中に直接お話を聞けるとは思っていなかったので、驚きました。私の質問した『今の仕事で何を一番心がけているのか』ということについての返答に納得しました。私は、バラエティ番組で貧困や親のいない生活をしている子供たちについてを見るとき、『かわいそう』と思ってしまいます。よく思っていることなんですが、私的には、『かわいそう』『かわいそうと思わないようにしなきゃ』と考えることはどちらも悪い感情なんじゃないかなと思っていましたが、正直今でもまだよくわかってないです。お話を聞けて良かったです!ありがとうございました」

コメントシートから

今井明弘さん、メール練習・インタビュー・ならびにサプライズへのご協力、どうもありがとうございました。

文:兼清慎一(写真協力:SEOの青木美由紀さん)