離婚への道程 七

義母との顔合わせ

付き合ってる期間中、挨拶した程度でまともに会わせてもらったことの無かった義母。この曲者息子を育てた人。どんな人なんだろうとドキドキしていたけど、お上品ぶった明るいおばちゃんだった。
後で聞いたら、人様の子を妊娠させたんだからその日は確実に罵られるだろうと覚悟を決めて来ていたらしい。箸を持つ手は震え、お料理も口に進んでなかった笑。

途中で父が「結納は無しで構いません。その分はこれからかかる費用に回さないといけないだろうし」と言ったら、義母が「あら!よかった〜!」と答えた。その時チラッと横目で両親を見たらちょっとムッとしていたように見えた。
その日はお互いの自己紹介をした後、結婚式の日取り・どこに新居を構えるかをなるべく早く決めましょうということを話し合ってそれぞれ解散。
帰りの車で両親に「ちょっとムッとしてなかった?」と言ったら
「当たり前たい!!大事に育てた子の『結納は無しで』っていうのは、簡単に嫁にやるってことだけん本当は嫌とよ!でもそんな事しよったらあんたも妊娠しとるのにバタバタせなんし、向こうも仕事しながら結納品揃えたりは色々大変だろうと思ってこっちから遠慮したのに、あら良かった〜て。金がかからんけんよかった〜てことだろ?普通は配慮してもらってありがとうございますだろたい」
と、母がばーーーっとまくし立てた。結納の仕組みがよくわからんけど、そうなのか…と私はあまりピンと来てなかった。

まあそれでも、そのもやもやをグッと堪えてそれなりに仲良く親戚付き合いを続けてくれた母。私がこの先苦労しないようにと余計なことを言わずに色々と堪えたせいで、今もたまに思い出してはグチグチ言っております。

義父との対面

「お義父さんって何してる人?」と聞いても「よくわからん」としか答えが来なかった謎の人。昔は保険会社の営業マンをしていてかなり稼いでいたけど、怒りっぽくて両親は喧嘩ばかりだったという情報しかない。

その時義父はスナックで働いていたので店を訪問。顔も頭髪もモト冬樹そっくりのおじさんだった。
お店にはオードブルが用意してあり、お客さんも一緒にお祝いしてくださった。長年離れて暮らしていた息子の結婚報告が嬉しかったのか、義父はフルートやらギターやらを演奏して歌を歌って上機嫌。私とも嬉しそうにいろんな話をして、結婚式にも来てくださいねと言うと「お前の死んだ母さんが良いと言うなら行くよ」とオヤジギャグかまして、元旦那を「いや、死んでねーし」と苦笑いさせていたw。
この時「結婚祝いに100万やる」と確かにおっしゃっていらっしゃったけど、未だに受け取っておりません。


結婚式の準備

顔合わせから1ヶ月、入籍を済ませ結婚式場も決定した。式の日まで3ヶ月くらいしかなかったのでバタバタで準備。それなりに結婚式に憧れがあった私は、準備期間の短さを考慮して泣く泣くいろんな工程を省いた。
新居は、とりあえず出産と子育てが落ち着くまでは元旦那の家(3DKの団地w)に住むことになり、結婚式の後引っ越しすることが決定。

お腹の子は幾多の出血を乗り越え、謎のコブも4ヶ月の頃ひっそりと消滅。
でも気を抜いてはいけないよというお医者さんの忠告を守り、ゆったりと過ごすことを心がけていたにも関わらず、やがて6ヶ月に入ろうとしているのにつわりが全く終わらない日々を送っていた。

そんな私に「お前の好きなようにしていいよ」と言って1から10まで準備丸投げした元旦那。「好きなようにしていい=めんどくさいけんどうでもいい」ってこと。わかってたけどね。でも結婚式って片方だけの力じゃどうしようもない事がある。それは招待状と席次の作成。招待客のリストと上座下座の決定はどうしても相談しながらじゃないと進まない。もう奴は当てにならないと踏んで、義母にリスト作成をおねがいした。
式場との打ち合わせも10回ほどあるうちの3,4回しか来てないと思う。ほぼ私がやって、義母アンド母がたまに付いてくるという感じだった。

たまに出血しては病院に駆け込み、友人たちと余興の打ち合わせをしたり、つわりを堪えながら香水臭いプランナーとミーティングを重ね、仕事に行きながら必要なものを揃えたり引っ越しの準備をしたりと、今の私なら耐えられない量のタスクをクリアして、あっという間に結婚式当日を迎えた。


結婚式

前日の晩両親への手紙を泣きながら書いて寝た為、朝起きると顔がパンパン。そしてなぜか脱肛していた。めっちゃ痛いと一人で大騒ぎ。弟は爆笑。
「しばらくゆっくり食べれないから食べときな」と母に渡されたサンドイッチをもそもそと車の中で食べていたら左頬の口内を噛みちぎる勢いで噛んでどでかい炎症を作り「もう朝イチで全部嫌になってきた!」と叫んだら「あんたは昔から大事な日に何かやる。そういう星の下だろうね」と母はまっすぐ前を見たまま運転して動じなかった。わたしも、星の下ならしょうがねぇなと納得。

式場に到着、元旦那と衣装部屋で合流。衣装を着ながらこの上なくめんどくさそ〜〜〜に、だるそ〜〜にしていた。
はず、なの、に!!招待客の皆様がパラパラと到着しだしたので出迎えにホールに出ると、丁度奴のただ一人の上司である「クソ意地悪い」といつも愚痴っていた最恐のおばさんが来場。「元旦那くん、おめでとう」と声をかけられるとグスグスと泣き出し「来てもらえんかと思いました〜T_T」と号泣!「来んわけないた〜〜い」と何故か抱き合って二人でワンワン号泣。よくわからん茶番をぼーっと眺めていたら、その時たまたま私の隣りにいた同級生の男の子となんとなーく目があった。「あいつ、昔からこういうとこあるよね。全部計算だんね」とコソッとつぶやいた笑。
式後、あの時何で泣いたか聞いてみたら「うーん、なんて言ったら良いかな。泣いといたほうが得かなと思って」と言っていた。あざと女子かお前は。

義父は当日の朝「行けない」と連絡がきて、結局来なかった。
義母は「肝っ玉が小さいけん。私の味方しかおらんし、シカちゃん側の知らん人に会うのがいやだったとよ」と言っていた。こういうとこ奴にそっくりだな…と思う。

結婚式は楽しく終了し、いよいよ義母との同居生活がスタートするのでした。

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