普通科に通う高校生が、芸大を目指すためにやったこと(その3)
なんだか、前回の記事がたくさんの方に見られているなぁと思ったら受験シーズンですものね。
20年も前の話が役に立つかは謎ですが、誰かをクスリとさせれたら嬉しいと思いつつ続きを。
未経験、普通科高校生が美大合格を目指してやったこと
とにかく、周りの人を観察しまくる
このままではダメだと早々に思った私は、高評価を叩き出す人の近くで授業を受けることにしました。
同じ課題をこなしながら、浪人生に張り付いてノウハウを学ぶことに注力。例えば、デッサンで言えば影の付け方や鉛筆の使い方、画材の種類などを真剣に盗み見ました。
知ってます?えんぴつって、濃さによって12種類あったんです。
いわゆる、アンミカさんの「白って200種類あんねん」の口調です。
河合塾に通うまで、HBと2Bくらいしか使ったことがなかった私。
浪人生たちは、鉛筆の種類が豊富なことに気がつきました。
塾にある売店でよくよく見てみると6B〜6Hまで売っていました。
(三菱鉛筆のサイト行ったらもっとありました)
とりあえず購入し、実際にどの部分にどの濃さの鉛筆を乗せるのか授業の合間や講評のたびに、よ〜く観察しました。
鉛筆の硬さと濃淡の付け方を覚えていくことで、かなり立体感を表現できるようになりました。
教科書は世の中全てのもの
過去の名画、名作を見まくる。世の中のポスター、雑誌広告、TVCMを見まくる
平面構成と呼ばれるポスターの課題では、どんな色の組み合わせを作ったらいいか分かりませんでした。
単純に人生の経験値が低すぎるので過去の名作を見まくりました。
塾には簡単な図書コーナーがあったので、デザインの本を見まくり。
塾へ通う電車の中では、中吊り広告や駅のポスター広告をよく見る。
名古屋の地下鉄のメイン路線である東山線を使っていたので、トレンドは掴みやすい環境にあったと思います。
平日の歴史の授業は先生の話も聞かずに、資料集の絵画のページをずっと見ていました。(よくないことですが)スケッチブックを取り出して模写までしていました。
歴史資料集って、その年代の抑えるべき絵画作品がフルカラーで掲載されているので、めちゃくちゃ勉強になりました。
浮世絵、印象派、キュビズムにバウハウス。色々な時代の色々な表現方法を片っ端から見ました。おかげで、歴史の定期テストでは美術枠の点数を稼げたので赤点は免れました。(全体の20%配点はあった)
さらに、雑誌広告やTVCMを見ることで「この組み合わせかっこいい」と表現の引き出しが広がっていきました。
特に参考になったもの
Casa BRUTUS
大学受験のタイミングで初めて手にしたデザイン誌でした。それまで雑誌といえばファッションしか知らなかった私。最初から最後までお洒落なもので埋め尽くされたCasa BRUTUSは今でも時々買っています。
この頃に、イームズと柳宗理を覚えた気がします。
ちくさ正文館書店(調べたら閉店されてた、残念)
河合塾千種校の近くにあった本屋さん。千種駅すぐの立地で、塾が終わった後によく寄っていました。高校生の私には、知らない世界が広がっていくようで楽しい時間でした。
ポール・ギャリコ作の猫語の教科書(ちくま文庫)はこの本屋さんで出会った1冊。猫が子猫のために記した生きるための教科書という刺激的な内容。いろんな友人におすすめの1冊として贈り、今でも何度か購入している本です。
美術館へ行くこと
私の場合、その当時は愛知県に住んでいたので愛知県立美術館と名古屋市美術館は割と行っていたように思います。
なんとかできた、現役合格!
日曜日は河合塾で浪人生のスキルを虎視眈々と盗み、平日は授業中に絵を描く生活。そんなこんなを繰り返していると冬が近づく頃には、講評の時間に徐々に作品が中央に置かれるようになっていきました。
受験当日も(いろいろありましたが)なんとかやりきり合格いたしました。良かった、良かった。
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