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国連・子どもの権利委員会の一般的意見26号(とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境)全文日本語訳

 マガジン〈子どもの権利と環境〉でかねてからお知らせしてきた国連・子どもの権利委員会の一般的意見26号(とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境)が委員会の第93会期(2023年5月8日~26日)に採択されたことは5月末の投稿でお知らせしましたが、8月28日(月)に公表されました(当初は7月に公表される予定でしたが、国連内部の編集作業に少し時間がかかっていたようです)。

 さっそく全文の日本語訳を作成・公開しましたので、ご参照ください(PDFはこちら)。

 一般的意見26号の構成は次のとおりです。

I.はじめに
 A.環境に対する子どもの権利基盤アプローチ
 B.国際人権法の発展と環境
 C.世代間衡平性と将来世代
 D.目的
II.条約の具体的権利と環境との関係
 A.差別の禁止に対する権利(第2条)
 B.子どもの最善の利益(第3条)
 C.生命、生存および発達に対する権利(第6条)
 D.意見を聴かれる子どもの権利(第12条)
 E.表現、結社および平和的集会の自由(第13条・第15条)
 F.情報へのアクセス(第13条および第17条)
 G.あらゆる形態の暴力からの自由に対する権利(第19条)
 H.到達可能な最高水準の健康に対する権利(第24条)
 I.社会保障および十分な生活水準に対する権利(第26条および第27条)
 J.教育に対する権利(第28条および第29条(1)(e))
 K.先住民族の子どもおよびマイノリティ集団に属する子どもの権利(第30条)
 L.休息、遊び、余暇およびレクリエーションに対する権利(第31条)
III.清浄、健康的かつ持続可能な環境に対する権利
IV.一般的実施措置(第4条)

 A.子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する国の義務
 B.子どもの権利影響評価
 C.子どもの権利とビジネス部門
 D.司法および救済措置へのアクセス(第4条)
 E.国際協力
V.気候変動
 A.緩和
 B.適応
 C.損失および損害
 D.ビジネスと気候変動
 E.気候資金

 第1次草案(2022年11月)と比べると、内容的にはそれほど大きく変わっていませんが、構成はだいぶ変更されています。とくに、(A)持続可能な開発、(B)世代間衡平性と将来世代、(C)利用可能な最良の科学、(D)予防原則の4つを「主要な概念」として取り上げていた章が丸ごと削除されたのは大きな変更点です(世代間衡平性と将来世代に関する記述のみ「はじめに」の章に残されています)。

 第1次草案からの主な異動を含む一般的意見26号の特徴については、あらためてコメントします。日本語の速報記事としては、とりあえず次のものをご参照ください。

-ユニセフ(日本ユニセフ協会)〈国連子どもの権利委員会 気候変動に関する「一般的意見26」公表 日本の子ども1,500人も策定プロセスに参加

-しんぶん赤旗〈気候変動から子守れ 国連委員会指針 各国に要求

-東亜日報〈国連「環境破壊は子どもに対する構造的暴力」

 9月18日(月)午前11時半(ジュネーブ時間)から、一般的意見26号のグローバル・ローンチも予定されています。プログラム等についてはあらためてお知らせしますが、とりあえずこちらのページをご覧ください。

 今回の投稿の見出し画像は、一般的意見26号の作成に関して国連・子どもの権利委員会と全面的に協力してきた GC26_CAT の投稿から拝借したものです。

 なお、正式版の日本語訳の公開にともない、第1次草案の日本語訳は削除しました。以下の有料部分に第1次草案日本語訳のPDFを掲載しておきますので、関心のある方はご購入ください。一般的意見の日本語訳はすべて無償で行なっていますので、サポートも歓迎します。

【資料】一般的意見26号第1次草案日本語訳

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