デジタル環境における子どもの権利:子ども・若者向けリーフレット
先月の投稿で、欧州評議会の閣僚委員会勧告「デジタル環境における子どもの権利の尊重、保護および充足のためのガイドライン」(2018年7月、CM/Rec(2018)7)の構成を紹介しました。
同ガイドラインの日本語訳は作成済みで、公表されたらまたお知らせしますが(追記:サイトに掲載しました)、欧州評議会による同ガイドラインの子ども・若者向けリーフレットも作成されていますので(2020年6月1日発表/PDF)、とりあえずその概要を紹介しておきます。
まず、子どもに関する決定を行なう者が尊重しなければならない重要な原則として、以下の5つが挙げられています。これは、ガイドラインの「基本的な原則および権利」に対応しています(太字は原文ママ)。
1.子どもたちの最善の利益は、何かを決めるときまたは対応をとるときに考えるべき、もっとも重要なことのひとつです。
2.子どもたちは、生まれてから18歳になるまでに変わっていく存在です。ティーンエイジャーとよちよち歩きの子どもは、できることも、必要としていることも違います。
3.子どもたちは、きちんとした理由がないのに、違う扱いを受けるべきではありません。
4.子どもたちの意見は、耳を傾けられ、真剣に受けとめられるべきです。
5.政府は、子どもたちの権利を守るため、他の人たち(企業、教員、親、子どもたちなど)を奨励・支援するとともに、こうした人たちといっしょに活動するべきです。
リーフレットの裏面(2枚目の画像)では、デジタル環境との関連で子どもが有している権利が具体的に説明されています。
● すべての子どもがデジタル環境を利用できるべきです
-これは、費用がそれほどかからない(そして公共の場所ではできれば無料の)ものであるべきです。
-また、障害があったり、田舎に住んでいたり、移住者であったりしても、誰でも利用できるべきです。
● 情報に対する権利
-政府は、あなたが子どものための良質な情報に簡単にアクセスできるようにするべきです。
-あなたは、オンラインで他の人たちを尊重する方法を学ぶべきです(たとえば、いじめや暴力をあおったりしない)。
-企業は、あなたが発見・理解できるような形で、利用条件に関する情報を提供するべきです。
● 決定に参加する権利
-学校、政府、企業、国際機関は、あなたの意見を求め、真剣に受けとめるべきです。
● オンラインでグループを作る/グループに加わる権利
-あなたは、オンラインにいるとき、政府や他の人たちから監視されるべきではありません(監視が法律で認められている場合を除く)。
● 遊ぶ権利
-政府や企業は、あなたが遊び、創造性を発揮し、問題を解決し、他の子どもたちといっしょに活動することを支援するべきです。
● プライバシーや個人情報を守られる権利
-すべての人が、プライバシーを守られるあなたの権利について学ぶべきです。
-あなたは、自分の個人情報をオンラインで秘密にしておく方法を学ぶべきです。
-あなたの個人情報は、あなたの許可(または、あなたの年齢が低すぎる場合、あなたの親の許可)があり、法律で認められている場合にしか、利用されるべきではありません。
-あなたは、自分の個人情報がどのように利用され、どうすれば削除できるか(または間違いを訂正できるか)を理解できるべきです。
-おもちゃや洋服のスマート機器は、あなたについての情報を集めるために利用されるべきではありません。
● 教育に対する権利
-学校は、あなたが必要とするデジタルテクノロジーを用意するべきです。
-あなたは、あなたが必要とするスキルを学べるべきです。そのためのサポートを受けられることは、あなたが女の子である場合、あなたの家庭にお金があまりない場合、あなたに障害がある場合には、とくに大切です。
● 害から守られる権利
-年齢制限のチェックがあります。
-あなたと親は、いじめ、有害なコンテンツへの対応、見知らぬ人の危険性について知っている必要があります。
-あなたは、有害なコンテンツや行動について、簡単に通報できるべきです。
-子どもの性的虐待画像はオンラインに存在するべきではありません。
このほか、政府などがとるべき対応として、▽法律・政策の策定、▽協働の確保、▽広報・啓発、▽デジタル環境へのアクセス保障、▽調査研究、▽
苦情申立て手続・救済措置の整備が挙げられています。
このような権利をどのように保障していくかは、日本でも重要な課題です。
noteやホームページでの翻訳は、ほぼすべてボランティアでやっています。有用だと感じていただけたら、お気持ちで結構ですのでサポートしていただけると、嬉しく思います。