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子どもに対する暴力(オンラインでの性的搾取・虐待を含む)の根絶をめぐる2021年の主な国際動向

 先日の記事で体罰の禁止・解消をめぐる2021年の国際動向を振り返りましたが、End Violence Against Childrenニュースレター(2021年12月)でも、より幅広く子どもに対する暴力全般についての主な国際動向がまとめられています。取り上げ損ねていた出来事もありますので、かいつまんで紹介します。

1)G7諸大臣が子どもの性的虐待・搾取に取り組んでいくことに対する画期的コミットメントを表明。(こちらの記事参照)

2)国連・子どもの権利委員会一般的意見25号(デジタル環境との関連における子どもの権利)を採択。

3)韓国コロンビアが法律で子どもの体罰を全面的に禁止。

4)第74回世界保健総会が「保健システムの強化と多部門的アプローチによる子どもへの暴力の撲滅」(Ending violence against children through health systems strengthening and multisectoral approaches)を採択(5月31日)。日本語訳はこちらのPDFファイルのpp.67-74にあります(国立国際医療研究センター国際医療協力局による仮訳)。なお、本記事の見出し画像は決議の採択を知らせるWHO(世界保健機関)のツイートからいただいたものです。

5)ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国が「ASEANにおける子どものいじめの解消に関する宣言」(Declaration on the Elimination of Bullying of Children in ASEAN)を採択(10月26日)。

6)「子どもに対する暴力を終わらせるためのグローバル・パートナーシップ」(子どもに対する暴力撲滅グローバル・パートナーシップ、GPeVAC)のパスファインディング国(子どもに対する暴力をなくすための取り組みを開拓者として先導する決意を表明した国)が35か国に増加。

7)EU(欧州連合)で、欧州議会の子どもの権利超党派グループ(Child Rights Intergroup)が子どもの性的搾取・虐待に関するハイレベルイベントを開催し、国際的対応の強化を呼びかけ(12月7日)。欧州委員会は、子どもの性的搾取・虐待に関わる不法なオンラインコンテンツの検出・削除・通報に関する新たな規則を2022年に採択する見込み。

8)インターポール(国際刑事警察機構)第89回総会(11月23~25日)が「オンラインにおける子どもの性的搾取からの子どもの保護」(Safeguarding children against online child sexual exploitation)に関する決議を採択。とくにE2EE(エンドツーエンド暗号化)の悪用について懸念を表明し、各国に対応を促した。

9)IEEE(米国電気電子技術者協会)が「子どものための5Rights原則に基づく、年齢にふさわしいデジタルサービス枠組みに関するIEEEスタンダード2089-2021」を作成。

10)国際的な女性の権利団体 Equality Now が、11月に発表した報告書で、オンラインでの女性・女児の性的搾取・虐待に終止符を打つための国際基準の策定を提唱。


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