米・国務省、2022年版人権報告書を発表――障害のある子どもの隔離教育や虐待について新たに記述
Facebookでは簡単に紹介しておきましたが、3月20日、米国の国務省が毎年発表している世界の人権状況に関する報告書の2022年版(2022 Country Reports on Human Rights Practices)が発表されました。
日本に関する記述(英語)はこちらから参照できます。
子どもに関しては、主として第6部:差別や社会的虐待(Section 6. Discrimination and Societal Abuses)で、▽出生登録、▽児童虐待、▽児童婚・早期婚・強制婚、▽子どもの性的搾取の問題が取り上げられています。昨年版(概要/在日米国大使館・領事館のサイトに掲載されている日本語訳)の内容から大きな変更はありませんが、教員による子どもの性的虐待に関する記述は、一定の前進があったという判断からか、削除されました。
他方、障害のある人の項(Persons with Disabilities)では、障害のある子どもとの関連で次のような記述が追加されています。
また、組織的な人種的または民族的暴力・差別(Systematic Racial or Ethnic Violence and Discrimination)の項で、次の2つのヘイトクライムが取り上げられています。
LGBTQI+の人々に関する記述(性的指向、ジェンダーアイデンティティもしくはジェンダー表現または性的特徴に基づく暴力行為、犯罪化、その他の虐待/Acts of Violence, Criminalization, and Other Abuses Based on Sexual Orientation, Gender Identity or Expression, or Sex Characteristics)も、多発した差別発言事件などを背景として、だいぶ詳しくなっています。
このほか、日本経済新聞や東京新聞の記事で紹介されているように、▽ウィシュマ・サンダマリさん死亡事件を含む入管収容施設での人権侵害(Prison and Detention Center Conditions の項)、▽7月の参議院選挙における女性候補へのセクシュアルハラスメント(Sexual Harassment の項)なども取り上げられています。報道では触れられていないようですが、セクシュアルハラスメントの項では、元自衛官の五ノ井里奈さんが自衛隊で受けた性被害についても詳しく記述されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20C7R0Q3A320C2000000/
https://www.tokyo-np.co.jp/article/239331
日本に関する報告の日本語訳は、そのうち在日米国大使館・領事館のサイトに掲載される見込みです(昨年は5月に掲載されていました/追記:4月20日に掲載されました)。
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