米・国務省、2021年版人権報告書を発表――無国籍、痴漢、レイシャル・プロファイリングなどについて新たに記述
米・国務省が毎年刊行している人権報告書の2021年版が発表されました(4月12日)。日本に関する部分(原文)はこちらから参照できます。
昨年の報告書(在日米国大使館・領事館のサイトに掲載されている日本語訳も参照)で、日本語の taibatsu という言葉も用いながら新たに取り上げられていたスポーツにおける体罰の問題は、2021年版では言及されていません。また、教員による子どもの性的虐待については、
「文部科学省の官吏によると、教員による子どもの性的虐待の報告は、主として公衆の意識の高まりおよびこれらの教員の懲戒解雇を理由として、50%以上減少した」
と書かれています。
子どもとの関連ではこのほか、出入国在留管理庁(入管庁)が2021年7月に発表した、子どもが無国籍のままとなっている理由に関する初の調査結果について、次のように言及されています。
セクシュアルハラスメントとの関連では痴漢に関する記述も充実しており、障害のある女性を狙った痴漢・ストーカー問題について詳しく取り上げられたほか、日本若者協議会のジェンダー委員会が行なった痴漢対策要求キャンペーンについても次のように記述されています。
また、逮捕・拘禁に関する箇所では恣意的逮捕(Arbitrary Arrest)の項目が新たに立てられ、レイシャル・プロファイリングについての記述が追加されています。
2段落目で取り上げられている事件については、たとえば次の記事を参照してください。
-ハフポスト日本版〈「日本語しゃべれねえのか」ムスリム母子に違法聴取か「同意なく住所を漏らされた」と訴え。警視庁は回答せず〉
-Dialogue for People〈「日本語しゃべれねえのか?」警察の対応から浮き彫りになるレイシズムの根深さ―弁護士・西山温子さんインタビュー〉
その後、女性は損害賠償を求めて東京都を提訴しています。
日本に関する部分の日本語訳は、そのうち在日米国大使館・領事館のサイトに掲載される見込みです(5月17日追記:掲載されました)。
【追記】(4月16日)
女性差別との関連で、ファミリーマートの惣菜シリーズ「お母さん食堂」の名称変更を求めて高校生が行なった署名についても簡単に取り上げられていたので、追記しておきます。記述内容は次のとおりです。
この件については、Business Insider〈ファミマ「お母さん食堂」の名前変えたいと女子高校生が署名活動、「料理するのは母親だけですか?」〉などを参照。なお、ファミリーマートはその後、シリーズ名を「ファミマル」に変更しています。
また、昨年版には朝鮮学校に関する記述はありませんでしたが、2021年版では、第6部:差別および社会的人権侵害(Discrimination and Societal Abuses)に新たに設けられた〈制度的な人種的・民族的暴力および差別〉(Systemic Racial or Ethnic Violence and Discirmination)の項で、次のように書かれています。
なお、マスクの件はさいたま市で起きた出来事ですが、さいたま市はその後、批判を受けて除外方針を撤回しました。毎日新聞〈マスクが配られた朝鮮学校幼稚園が浴びた「ヘイトの嵐」 そして…〉など参照。
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