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子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表、国連総会に提出した年次報告書のチャイルドフレンドリー版を発表

国連システムにおける子ども参加の現状と課題〉で紹介しましたが、2019年7月から子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表を務めているナジャート・マーラ・ムジード(Najat Maalla M'jid)さんは、10月1日(UTC/協定世界時)、同特別代表が国連総会第77会期に提出した年次報告書の概要について子どもたちに説明するオンラインイベントを開催します(ウェビナー登録はこちらから)。国連人権理事会第49会期での年次報告の発表に先立って行なわれた同様のイベントに続く取り組みです。

 今年の年次報告書(A/77/221)では、気候変動が子どもの保護および子どものウェルビーイングに及ぼす影響にとくに焦点が当てられています。このほど、報告書のチャイルドフレンドリー版も公表されました(英語・フランス語・スペイン語・アラビア語)。

 チャイルドフレンドリー版報告書では、
▽気候変動にともなうさまざまな環境危害が「ニューノーマル」(新たな常態)となっていること
▽その影響はすべての子どもに及ぶこと
▽子ども(とくに、もっとも不利な立場に置かれた子どもや沿岸部・村落部などハイリスクで脆弱な環境に暮らしている子ども)は大人よりも気候危機の被害を受けやすいこと
 などを指摘し、地球を救うために直ちに行動することの必要性を強調しています(p.4)。環境危害が子どもや家族にどのような影響を及ぼすかについても、イラスト入りでわかりやすく説明されています(pp.6-7)。

 気候変動とその悪影響を食いとめるために世界各国で子ども・若者が行動を起こしていることも紹介されています(p.8)。

 そのうえで、子どもたちのために、そして子どもたちとともに安全で健康的な環境をつくり上げることは可能であるとして、次のような行動の必要性を指摘しています(pp.9-10)。

● 問題に共同で(ソロプレイヤーのようにではなくオーケストラのように)対処していくこと
● 対応の中心に子どもたちを位置づけること
● 子どもに配慮した
(child sensitive)政策・立法・プログラム・行動に十分な資源を投入すること
● 企業を対応に巻きこみ、企業に責任を取らせること
● 各国間の協力を奨励すること
● 変革の主要な主体としての子どもたちの関与を得ること

 -気候変動適応・緩和に関する子どもたちの能力強化を図る
 -気候変動と環境に関する教育に投資する
 -子どもたちが解決の一翼を担う力を身につけられるようにする

 私は10月1日のオンラインイベントを視聴できないのですが、ムジード特別代表は前回のイベントでも子どもたちの質問に丁寧に答えようと努力しており、今回も実りのある内容になることを期待します。

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