第3号 2022.01.03:オタクよもやま話

■ オタクよもやま話

これは何でも一芸になりうるという話でもあり、またオタクはチョロいという話でもある。

私は推しができるたびに彼らを夫に教え込んできた生粋の「共有したがりオタク」である。これまでジャニーズからLDH、元ジャニーズJr.、女性アイドル、MCUの登場人物まで、ありとあらゆる推しを紹介してきた。その結果、夫は例えばジャニーズでいえばデビュー組は勿論のこと、Jr.もジャニーズJr.チャンネルに出演しているグループであれば9割方、LDHでいえばEXILE TRIBEは全員分かるようになった。その数を合計したら、ゆうに100人は超えるだろう。200人に近いかもしれない。「分かる」のレベルとしては、大抵の人の名前と顔が一致しているのみならず、特徴や性格、パフォーマンスについても人によってムラはあるものの一通り理解しており、その人の担当(=ファン)とでもそつなく会話ができるレベルである。

さて、そんな夫が実家に新年の挨拶に来る。彼の海外赴任中に私はBTSにハマり、それを一緒に見ていた母もすっかり沼にドボンした。ターゲット:夫、対象:BTSだ。

海外での生活の話をしたり、シュークリームを食べたりで場が温まった頃合いを見計らってロックオン。写真を見せて「どの人が一番好み?」と聞いてみる(特に好みを聞きたいわけではないが)。この人の他の写真がこれ、これとこれが同一人物…とやった後、「でもパフォーマンス見たことないからさ」と言うので、はい来ました!とYouTubeで動画を見せる。しばらく動画を見ていると、「やっぱり名前という入れ物に人の特徴を詰め込んで覚えなきゃ」と言うので、2度目のはい来ました!動画を見ながら出てきた人の名前を教える。

そうして夫はBTSを覚えた。この間なんと30分足らず。30分足らずで仕上げてくるとかそんなことある?BTSに限らずK-POPのアイドルを覚えるときってこうちょっと苦労するのが醍醐味?みたいな風に思ってたんですけど、そういうかわいげ一切ゼロ。『Dynamite』は世界的に流行ったし、「『Dynamite』でBTSメンバーを覚える〜」みたいな動画を見かけたこともあるけど、実際1つのMVの中で衣装が何度も変わるし、それによってかなり違って見えるのでなかなか初見殺しだよな…と私は思ってたんだけど、それすらも夫の前では無力だった。ちょっとぐらい間違えてくれ。優越感をくれよ。

そして夫はアイドルを覚えるという一芸によって(私の母の)人心を掌握することに成功したのでした(好きなものを分かってもらえるのってとても嬉しいよね!)。

こんなに速いのありえないと嘆いたところ、「俺がこれまで何人の人間を覚えさせられてきたと思ってる?」とのこと。ごもっともすぎる。

ちなみに現段階ではジョングクさんとテヒョンさんのビジュアル、ジミンさんの歌が好きだそうです。

満足するまで食べちぎるぞ!と意気込んで鳥貴族に行ったところ、腹のラインがスヌーピーの眉間から鼻にかけてのラインと近似した形になった。

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