第45号 2022.02.28:「文化の盗用」について

■ 「文化の盗用」

好きなグループのメンバーに対し、「文化の盗用をしている」という批判が集まっていたことを知った。

- 昂秀くんの髪型が黒人文化の盗用として200件批判コメが付いてた件 - 感想文

文化の盗用(ぶんかのとうよう 英: Cultural appropriation)とは、ある文化圏の要素を他の文化圏の者が流用する行為である。少数民族など社会的少数者の文化に対して行った場合、論争の的になりやすい。流用の対象となる文化的要素としては宗教および文化の伝統、ファッション、シンボル、言語、音楽が含まれる。

文化の盗用については近年目にすることも増えてきているものの、あまりよく理解できていると言い難い。気になったので、いくつか記事を読んでみた。

まずそもそも知らなかったのは、文化の盗用の考え方に「搾取する側・される側」の意識が深く関わっているということ。マジョリティーがマイノリティーのものを、利益を得るために流用した際に問題になりやすいということを理解した。また目にしたものの中には、ドレッドヘアをアーティストがするのか、アスリートがするのかでも当事者の受ける印象が違うようだという話もあった。

いくつか読んでみたものの、文化の盗用について「ではどうすれば良いのか?」の明確な答えとなるようなものはあまり見つからなかった。声明や寄付金を出すだけじゃダメ、才能がなきゃダメ、と言うならどうすれば良いんだろう?

パッと分かりやすい正解を求めようとするのは良くない、都度都度模索しなければならないのだということは理解できた。

今回の件で言えば、髪型が批判された→もうその髪型はしないようにするで終わらせる、では不十分なのだろう。この流れを受けて会社が積極的な方向に動くことがあるのだろうか。コメントに気づいたとしても対外的には「見て見ぬ振り」が一番ありがちなパターンだろうと思うので期待はしていないけれど、もし何らかの対応を積極的にするような動きがあったら。これは貴重な機会となりうることだとも思うけれど、はたしてどうだろう。

- K-POPは「黒人差別」と「文化盗用」の歴史を精算できるか─BLM支持は口先だけ?

この記事に全面的に賛成とは言い難いが、インタビュイーの一人が「自分たちの音楽をインスパイアしたカルチャーもリスペクトする」ための具体的な方法として「多様性に富んだチームを社内に持つべき」を挙げているのにはなるほどと思った。

- キム・カーダシアンの新下着ブランド名、「Kimono」と命名で物議

ここまで本来のものと違うものに対して、さらに商標登録までしようとしているというのは流石にン?と感じる。着物と類似のものを作る気がない(=全く着物とは関係ない)方がなんなんだろう感が強い。それが日本に関連するものかどうかは別としてそう思う気がする。似て非なるものについてはどうだろう。

- 日本人が知らないアリアナ・グランデ「文化の盗用」批判の背景とは

全面的に納得感のある記事だった。

ただ、この部分については少し納得がいかない。

ブルーノの、ミュージシャンとしてのずば抜けた才能と技術も、もちろん重要な要素だ。いくら愛があっても「ヘタの横好き」では認めようもない。

才能ある者は良し、無い者は悪しなのか?リスペクトを示しながら取り入れるためには、高いクオリティのものを制作できるだけの才能が必須・下手の横好きはダメというのはどうなのだろう。リスペクトを示すにはそれしかないのか?

■ 摂取エンタメ記録

Watching:『恋せぬふたり』5話

咲子がカズくんのことを「良い人」と認識しているのは伝わっているものの、視聴者の目線から見るとカズくんは無遠慮が過ぎるように思えて、見ていて辛いものがある…と4話まででは思っていた。

でも5話を見て、カズくんの良いところが分かったのがすごく嬉しかった。そして咲子と羽がカズくんから良い影響を受ける描写があったのもとても良かった。

最初から完璧な振る舞いをすることができればそれ以上ないのかもしれないけれど、そんな自信はさらさらない。でも相手を理解しようと努力すること、相手を真っ直ぐに見ること、そのトライをすることができる私でありたいと思った。

そして、その対象は自分とは異なるセクシャリティーを持つ人だけではない。自分の周りにいる家族や友人に対してもそうありたいと改めて感じた。

この作品で取り上げている題材としてはアロマンティック・アセクシャルというある意味で限定的なものだが、この作品から伝わるメッセージはあらゆる人間同士の関係性において重要なことであると感じることが多い。自分の身に置き換えても、周りの人との関係性について深く考えさせられる。セクシャリティーにかかわらず、人間同士が関わり合いを持つうえで大切なことは同じなのだと思う。

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