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水曜日のダウンタウン:ネルソンズの解散ドッキリで泣いた日

最近忙しくてほぼテレビを見れていないが、ツイッター上での評判が非常に良いので水曜日のダウンタウンの「ネルソンズから和田が抜けたら青山はポンコツ岸とコンビを続けるのか」という説を視聴した。
結論から言うと、テレビ番組で久々に号泣してしまった。
最後にテレビを見て涙を流したのはおそらく、2021年のM-1グランプリで錦鯉が優勝した瞬間である。
ネルソンズについてはライブ等で見たことは数回あるが、ネタ以外の3人のパーソナリティ的な部分はほぼ知らない。それにも関わらず号泣してしまい、自分でも驚いている。

完璧なVTR

時間を掛けて徐々に生まれる不穏さ、話し合いにおいて青山に言い負かされなかなか引退できない和田という笑い、ドッキリにおいて明らかになる当人らも知らなかったコンビの絆、これほどまでに完全なVTRをなかなか見ない。和田が唐突に脱退を切り出すのではなく、先輩芸人らの協力も経てターゲットの青山に「和田の様子がおかしい」と少しずつ認識させていく。この辺りのドッキリの緻密な構成はさすが水曜日のダウンタウンである。先輩芸人から「和田がマネージャーと話し込んでた」と心配されたり、飲み会の場で「最近ピンの仕事で悩んでいるらしい」と教えられたりといったことが続く。また、早朝の打ち合わせで和田がスタッフからの問いかけに対して心ここに在らずという態度を見せる。それに対して青山は「舞台休ませるのもありだな」とマネージャーに問いかけるなど、段々と心配が大きくなっていく。
しかし「解散ドッキリ」という重いテーマを取り扱うにも関わらず、VTRに多くの笑いがあるのは仕掛け人である和田まんじゅうの手腕である。引退宣言をする話し合いにおいても、なかなか引退を認めない意志の強い青山に焦りハイペースで席を立ちスタッフに助言を求める。解散ドッキリはヘビーな雰囲気になりがちだが、それでも非常に笑えるのである。
この説の主軸である「エース・和田まんじゅうの脱退後に青山は岸とコンビを続けるのか」を検証するため、和田と岸はマネージャーと話す青山を別室でモニタリングする。二人の予想は「9:1で続けない」「10:0だと思う」「やりませんの一言で終わる」といったものだった。今まで存じていなかったが岸はジャンポケでいえばおたけのような存在らしい。ジャンポケの同様のドッキリではターゲットの太田は「おたけとは続けない」と言っていた。
しかし二人の予想に反して、マネージャーから今後どうするか尋ねられた青山は「岸がいいならやる。岸と二人でどんなネタをやるか今もう考えているし、1年ぐらいやってみてダメなら心折れるだろうけど」「二人でのネタが形になってきた頃に和田が戻ってきたら更にブーストかかる」と即答する。予想に反した回答に別室で動揺が隠し切れない和田・岸の仕掛け人一同。驚きのあまり「青山!」と思わず大きな声を出してしまい、和田に注意される岸。青山の語る岸との今後のビジョンを聞きつつ、和田の目には徐々に涙が浮かぶ。「酷いこと言ってゴメン」「お前、こんないい奴だった?」と感激を隠し切れない両者。和田・岸が青山の意外な決断に動揺し、それが徐々に感激に変わっていく様子が非常にリアルで良かった。ドッキリ開始前、岸は「青山とはしこりがある」「最初、自分が加入することを認めてくれていなかった」と話していたため余計に衝撃だったと思われる。
その直後、水曜日スタッフと共に青山を直撃してようやくドッキリであると打ち明ける。驚きの後、安堵の表情を浮かべ力が抜ける青山と抱き合う二人。岸が「俺は本当に嬉しかった」と言うと、「だって岸とネタやってて最近楽しいし。リラックスできるし」と即答する青山に更に喜びを隠せない岸。その後、「俺がネタ書いてる時に二人がトランプやり始めたのもドッキリ?」と青山が聞くが、それはドッキリではなかったというオチで終了。
笑いもあり、感動もあり、オチもついて終わるという隅々まで完璧なVTRだった。

コンビの解散・脱退

正に今、時期的なものもありセンシティブなテーマである。ここ数か月の芸人の解散ラッシュは記憶に新しく、著名なコンビも次々解散している。「まさかここが解散するとは」というコンビやトリオも複数いた。最近では最も衝撃的だったコマンダンテの解散において、石井が「(安田から解散を告げられたのは)ドッキリであればよかった。水曜日のダウンタウンだったら」と言っていたその思いが、今回のネルソンズの説を見て十分なほどに伝わる。
解散というのは、よく「ボタンの掛け違い」と表現されるが正にその通りなのだと思う。小さな問題や遺恨が徐々に大きくなっていき、だんだんとしっかり話し合いをすること自体が難しくなっていく。気付いたときは絡まった糸をどこからどう解いていけばよいのか分からなくなっている。その結果として、コンビやトリオを維持することが不可能になってしまう。
ネルソンズの説では、ドッキリを通して仕掛け人であるはずの和田・岸にとっても今まで知らなかった青山の真意が伝わるという結果になった。特に「(和田が抜けたら岸とは)やりませんの一言でスパっと終わると思う」と言っていた岸にとっては、より意外な収穫を得ることになった。ネタばらし後の「最近、岸とネタしてて楽しい」という青山の発言も、今回のドッキリが無ければ知る由もなかった真意である。スタジオでも「この説で関係が良くなるのはネルソンズだけ」と言われるほど稀有な例だが、彼らは説を通して「がんばろうな」と肩を組み合っていた。
コンビやトリオの関係性というのは、単なるファンである自分が想像するよりもずっと複雑で形容しがたいものなのだろう。元々同級生であったり、養成所で知り合ったり、様々な出会い方があるが関係性もそれぞれである。友達とも呼べないし、100%ただのビジネスパートナーとも呼べない微妙な関係性が「相方」なのだろう。ちょっとしたことの積み重ねが後に取返しのつかないことになるケースもあるし、今回のネルソンズドッキリのように些細なきっかけで心の内が明かされるパターンもある。我が身に置き換えて想像すれば、どれほど仲が良くて付き合いが長い友人でも四六時中顔を合わせるビジネスパートナーとなればイライラする部分がどんどん出てくるだろうなと思う。そういった不思議な関係性である芸人のコンビ・トリオというものを長らく良い関係で維持できている人たちというのは、こちらの想像以上に凄まじいなと感じさせられた。

今回の説を通してネルソンズのこれからの更なる躍進が楽しみになった。3人のことをネタでしかほぼ知らない自分がこんなに号泣してしまったので、ファンの人は大変だっただろう。思わずnoteにしてしまうぐらい、完璧な映像でした。


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