多分日本一遅いM-1グランプリ2021感想(約1万字)

5か月前ですよ。遅すぎる。多分日本一遅い。
毎年感想は書いていたのに去年ちゃんとした文章を書いていなかったなとふと思ったため、残しておこうと思います。
約1万字あります。これほど長くなるとは。

ちなみに3連単予想キャンペーンは
1位 錦鯉
2位 もも
3位 オズワルド

1位だけ的中しました。錦鯉は2019年のM-1の3回戦のまさのり数え歌が面白すぎて完全に好きになったのですが、2020年は惜しくも4位。ちなみに2019年のM-1敗者復活はテレ朝の一階の大きいモニターで見ていたのですが、近くにいた男の子がまさのり数え歌で息できなくなるくらい爆笑していたのが忘れられません。
錦鯉は爆問霜降りのシンパイ賞に目をつけられたり、少しずつ露出が増えてきたのでこの勢いのまま優勝するだろうと予想。
ももに関してはあのフォーマットが2019のミルクボーイ的な爆発をするのではと予想。去年の準決勝は完成度が高すぎてビビりました。
オズワルドに関してはファイナルステージは安泰だろうということでこの予想でした。

全体の感想としては「錦鯉の優勝、嬉しすぎ!!!!」
お笑い界にもなんとなく全体の流れのようなものが存在する気がしていて、霜降りの優勝以来しばらくは第七世代ブームが起きたりと若いフレッシュな力を求める雰囲気がありましたよね。第七世代という言葉、もはや懐かしい。全盛期はENGEIグランドスラムで第七世代特集がありました。そこからシンパイ賞などで第七世代問題が取り上げられ、ニューヨークがそこにプロレスを仕掛け、巡り巡って今はニューヨークやかまいたちなど第七世代より少し上の芸人たち(6.5世代?)がテレビで大立ち回りしているという。

錦鯉のM-1優勝はもちろん彼らの実力ですが、やっぱりマヂラブが優勝してから明らかにM-1という大会自体に変化があったな、と思います。
自分が真面目にM-1を見始めたのは2016年頃からですが、2018年くらいまでのM-1は賞レース特有の緊張感、ピリつきがあったような気がします。特に2018年とか凄まじいですよね。それが2019年から少しずつ緩和されていって、2020年で完全に雰囲気が変わったように感じています。2021年からはもう新時代。
従来のM-1と何が変化したかって、一番は吉本以外の他事務所勢の健闘ですよね。
これまでは決勝メンバーが全員吉本所属なんてこともザラにありましたし、優勝するのも毎年吉本。
(一説によると今年のM-1で非吉本が台頭したのはラパルフェの3回戦ネタが一枚噛んでるらしいが...)
それが決勝に他事務所勢が多く進出し、優勝もSMA(と、漫才協会)所属の錦鯉。

錦鯉ってチャンピオンとしてはかなりイレギュラーですよね。
まず若手の大会に出るにしてはかなり高齢。ちなみにまさのりさんの同期であるタカトシがM-1決勝に出たのは2004年です。そして所属が吉本以外のコンビが優勝するのは2007年のサンドウィッチマン以来。
SMAから優勝コンビが出るのも初の快挙ですし、これでSMAは全賞レースでチャンピオンを輩出しました。
あとWikiで知りましたがM-1の最年少優勝記録は粗品の25歳で、最年長優勝記録はまさのりさんの50歳らしいですね。粗品が生まれた頃にまさのりさんは既にお笑いを始めている事実すごすぎる。そしてまさのりさんが粗品の3年後にチャンピオンになるのも何があるか予測不可能なお笑いという世界の面白さを表していますよね。
それに加えて従来のM-1では漫才といえばやはり大阪が強かった印象がありますが、マヂラブ優勝以降覆ったような感じがします。
アラフィフ、非吉本、非上方漫才師という異例のチャンピオンの誕生。

錦鯉の優勝の何が最高かってこれからのM-1がさらに面白くなることですよね。
霜降りが優勝した際は今後は若い世代もどんどん出てくるんだろうな~と思ったし、ミルクボーイの時はM-1が全くの無名でも実力だけで優勝できる大会だということを再認識しました。ミルクボーイは確か12月のM-1決勝に出るまでその年の全国ネットのテレビには1本も出ていなかったはずです。
錦鯉の優勝は非吉本勢にも芸歴が長い芸人にも大きな希望を与えました。
錦鯉を見て自分たちにも優勝のチャンスがある、と本気を出す漫才師がゴロゴロ出てくると思うと今からワクワクします。

印象に残ったコンビのネタについて


モグライダー


正直恥ずかしながらモグライダーのネタを数回しか見たことがなかったのですが、トップバッターなのが本当に惜しすぎるくらい面白かった。ともしげはボケではなく「エラー」という言葉が本当に言い得て妙。順番次第では確実にファイナルに進んでいたのではと思います。初めてモグライダーを見る人でもあのネタを少し見ただけで二人がどういう人なのかだいたい分かっちゃいますよね。
やっぱり漫才って演者のパーソナリティ(いわゆる''ニン''と呼ばれるもの)が存分に出ていると強いよな~と思います。二本目は玉置浩二やる予定だったのかな?あれもめちゃくちゃ面白いからぜひファイナルで見たかった。

ランジャタイ


彼らは本当に・・・試合に負けて勝負に勝った。
自分はランジャタイも勿論知ってはいますが語れるほどの知識量はありませんでした。ちなみにT.Nゴンの秘密とTMラーメンがめちゃくちゃ好きです。しかしそんな自分でも決勝のランジャタイを見て何というかお笑いファンでよかったな...と思いました。ランジャタイのファンの方がツイッターで放送中に「このまま最下位死守してくれ」と呟いていたのが最高でした。ネタが終わった後の審査員の面々のポカンとした表情が本当にたまらなかったです。後から知りましたがあの「風猫」のネタは10分ほどあるネタを4分間にまとめたのではなく、単に前半の4分間をそのままやっただけという衝撃。というか日本のトップ若手漫才師の皆さんが舞台衣装のきちんとしたスーツで漫才をする中、白T一枚で出てくる国ちゃんのかっこよさよ。千鳥大悟が「憧れるわ」と相席食堂でしみじみ言っていた気持ち、めちゃくちゃ分かる。
ランジャタイは敗者復活で最下位だった2020年からじわじわと波が来たイメージがあります。もちろんそのずっと前からライブシーンでは絶大な人気を誇っていたと思うのですが、国民最低事変がターニングポイントだったように思います。
ランジャタイが競技漫才の大会で大きく爪痕を残した事実もかなり大きいと思うんですよね。
彼らの漫才はイレギュラー中のイレギュラーであり、一般受けとは結び付きません。(もちろんそこがランジャタイの良さですが)
そういう芸風の彼らが全国ネットのゴールデンで放送される大会で自分たちのやりたいネタをやったということは、M-1が評価する漫才の多様さを示したと思います。M-1が評価するのはボケ数の多い大衆にも受ける競技漫才ではなく、ただただ面白い漫才なんだなと再認識しました。
今年はラストイヤーですが、決勝で見るランジャタイをもう一度絶対に味わいたいのでぜひ頑張ってほしい...!

真空ジェシカ


真空ジェシカも自分はそこまで知識がなく、吉住やペーパードライバー講習などの有名なネタは見たことがある程度でした。あと昨年の予選で披露していた商店街のネタが超面白かった記憶。しかしなぜか準決勝前くらいに自分の中で真空ジェシカの波が来てしまい、今では毎週podcastでラジオ父ちゃんを聴いています。真空ジェシカの笑い、好きですね~。自分はガチガチのインターネット人間であり、インターネットの笑いというものにかなり影響されてきたのですが、彼らにもそれを感じるのでストレートに刺さるんですよね。真空ジェシカの二人もそういうネットカルチャーに触れてきた感がすごくあって、そこが堪らないです。
陳腐な表現になってしまいますがやはり「センス」ですよね。設定、ワードセンスの全てから滲み出てます。
おばあちゃんのハンドサインのボケとか真空ジェシカらしさが全部出ていて最高ですよね。
ちなみに「理系のおばあちゃん珍しい」というツッコミがありますがガクさんの親戚には東大の理学部出身のおばあちゃんが実際にいたということが決勝後に判明。めちゃくちゃ近場に理系のおばあちゃんいた。
あと何といっても川北さんってめちゃくちゃ良いボケですよね。あの淡々とボケる感じ堪らないです。去年のM-1の決勝会見でボケまくって人力舎の社長から「あんなことをしていては来る仕事も来なくなる」と注意を受けた話が大好きです。あの会見でもインターネットの住民には堪らないイルカの「お前を消す方法」をいじるボケをしていて刺さりまくってしまいました。真空は本当に生で見たい。そして何となく今年も当たり前のように決勝に行っちゃいそうですね。

もも


彼らのネタを始めて見たのは確か2018あるいは2019のM-1だったと思うのですがどっちだったかな。
GyaOの三回戦の配信で「ももという大阪の無名コンビが超面白い」と話題になった記憶があります。当時のももは結成から日が浅く、大阪のコアなファンの方しか名前さえ知らなかった状況。
始めてネタを見たとき衝撃的でした。「〇〇顔」ってやってそうで誰もやってなかったよな・・・。
何といってもテンポがたまらない。素人なので漫才の上手い下手はマジで分かりませんが、そんな自分から見ても毎年確実に上手くなっているのが明白でした。特に昨年の準決勝は配信で見ましたが凄かった。無駄が一切ない4分間。ももはM-1に向けてとにかくネタ合わせの時間を多く取っていたらしいですね。舞台の数もそれほど多くないため二人ともバイトしながらその間を縫って練習していたらしいです。その努力が実って本当に良かった。決勝は順番が遅かったのもあって大爆発とまではいきませんでしたが、松ちゃんの「三年後優勝顔やね」に「来年獲ります」と返せる心意気に痺れました。彼らのフォーマットは発明だし、今後はそれを更に進化させていくのか、それとも丸っきり違うことをしていくのか。結成歴もまだ短いですし、これからM-1に出るにあたって色々な苦悩が生まれてくると思います。でも本当に来年宣言通り優勝してほしい!!

錦鯉の優勝ネタ


オズワルド伊藤が隆さんにM-1の話を振ったところ「猿のネタがあるんだよな~」と言われ、「猿のネタ...?」と内心戦慄したという。普通に考えたら街に出た猿を捕まえるネタって何?って感じだし、それで優勝するのって凄いよな。
漫才の用語で「人(ニン)」というものがありますよね。その芸人の人柄であったり、個性であったり、その人らしい部分という意味だと思います。よく「彼らの漫才はニンが出ていて良い」などの使い方をしますが、ようするにその人にしか出せない色が存分に出ているということです。逆にニンが全く出ていない漫才というのは、台本をそのまま読んでいるような、素のその人が全く出てない漫才を指すんですかね。
M-1後の打ち上げかThe Nightでインディアンスのたぶっちゃんが「まさのりさんのニンには勝てない。キャリアが違う」というようなことを言っていたのが印象的でした。
錦鯉は漫才における二人の関係性が現実とそれほど乖離していないんだろうな~とネタを見ただけで思いますよね。インディアンスも「人」の部分をすごく重要視しているんだろうな~と思いますが、たぶっちゃんも自分で言っていたように10年そこそこの若手は何をどうやってもその部分でまさのりさんには勝てない。年を重ねないと出ない味のようなものがあるんだな~ということを実感させられますよね。
そして「ライフイズ・ビューティフル」で終わるのも文字通り美しい。お笑いオタクならみんなそのセリフと錦鯉の二人の人生を重ねて考えてしまいますよね。この発案者が事務所の先輩であるバイきんぐ小峠さんだったのも熱い。「芸人の墓場」と言われたSMAが今や全賞レースでチャンピオンを輩出するような事務所になったことは本当に凄いと思います。全賞レースでチャンピオンを出してる事務所って確か吉本とSMAだけなんですよね。両者の規模の違いを考えるとそれがどれだけの快挙か分かります。双方の共通点といえば自社劇場を持っていることですが、所属している芸人さん達にとってホームとなる場所があるのはやはり強いんでしょうね。そういった場所があったからこそ錦鯉とSMAの芸人たちの絆が強くなったわけですし、今回の優勝にも大きく貢献したのだと思います。

今後のM-1グランプリについての所感


毎年同じことを言っている気がしますがM-1という大会は年々予想がつかなくなっていきますね。霜降りが優勝した時は「世代交代」という言葉が浮かびましたが、翌年チャンピオンに輝いたのは大阪で地道に舞台を重ねてきて圧倒的なネタの強さを見せたミルクボーイ。彼らは長い間日の目を浴びず、M-1で一気に世に出た芸人です。ちなみに2019年のM-1を観覧した時に見たミルクボーイの「コーンフレーク」が私が人生で体感したウケで断トツ凄かったです。結構前列に座っていたのですが、後方から濁流のような笑い声が響いていたのを今でも覚えています。
そして2020年はマヂカルラブリー。彼らのことは元々好きでしたが、正直に言うと賞レースで優勝するようなコンビだとは思っていませんでした。長年賞レースを見続けていた人間からするとどうしても向いてるネタ、そうでないネタがあるんですよね。
(※しかし賞レース向きのネタが必ずしも評価されるわけでもないのがM-1だと思います。例としてニューヨークの2019、2020の決勝ネタがちょうどいいのではないでしょうか。2019の「ラブソング」と2020の「軽犯罪(ネタのタイトルこれでいいのか?)」だったら、万人受けする題材は前者の方だと思うんですよね。キャッチーな歌ネタだしニューヨークを知らない人にも受け入れられるネタだったと思います。それに対して2020のネタは題材が題材ですし「ラブソング」に比べると万人受けするネタではない。でも私の体感では2020のネタの方がファンには評価が高い気がします。これは恐らく2020のネタの方がニューヨークらしさが強烈に感じられたからではないでしょうか。2019のニューヨークが果たして賞レースに寄せていたのかは分からないのですが、そのコンビ独自の色とネタが照らし合わされる傾向もあり、必ずしも賞レース向きのネタが評価されるわけではない気がします。)
自分が思う賞レース向きのネタの特徴を挙げると①ボケ数が多い②テンポが良い③万人受けするボケ などですが、これももはや過去の思想になりつつあるかもな~と思います。体感ですが最近の賞レースでは「新しさ」もかなり重視されているのではないでしょうか。例えば霜降りだったら粗品のツッコミは革命的だったし、ミルクボーイであればあのシステムはかなり斬新だった。マヂラブも従来の賞レースのネタの常識には無かった新しさがありましたよね。
余談ですが、霜降りは2018年のM-1で優勝するために「豪華客船」というネタを劇場で幾度となく試し、ボケツッコミの取捨選択をして優勝ネタを作り上げました。彼らのことをそれなりに長く見てきた人間からすると、霜降り明星のお笑いって実はあまり大衆受けするものではないと思うんですよね。もちろんテレビで万人に受けるようなお笑いも難なくできるのですが、彼らが本当に面白いと思っているのはもう少しコアな所な気がします。ラジオなど聴いていると顕著にそれが感じられます。イニミニチャンネルとかポケひみとかが良い例だと思いますが、彼らはM-1という大会にかなり寄せて優勝を掴んだように思います。
2020年はM-1全体の歴史を見てもかなり大きいターニングポイントでした。マヂラブという地下出身のイレギュラー関東コンビが優勝したことは、翌年の錦鯉の優勝にも少なからず影響を与えていると思います。錦鯉も本来は地下芸人と呼ばれる類でした。そして錦鯉の優勝によりM-1の可能性というものが更に広がりました。非吉本でも、アラフィフでも、地下出身でも、面白ければ優勝できる大会なのだと分からせられました。
来年からのM-1、ますます予想がつきません。この二年間の流れに乗って関東勢が勝つのか、関西勢が返り咲くのか。お笑いファンでもまあ予想がつかないこの大会が私は大好きです。今年は映画館で準決勝のライブビューイング頼むよ。

今年のM-1で良いとこまで行ってほしいコンビ


まずママタルト。一昨年くらいから確実に波が来ていると思うので、今年こそ準決勝に行ってほしい。
滝音。昨年はGyaOワイルドカード枠で準決勝に進出しました。(私は滝音にどうしても復活してほしかったため毎日欠かさず視聴し、親族にも再生させていたため非常に嬉しかったです)ワイルドカードから決勝に行ったコンビは今までいなかったため、滝音が史上初になるのではと大きく期待したのですがやはりトップバッターというのは厳しかった。今年こそ。
金属バット。ラストイヤーですね。彼らが決勝の舞台で見れないまま出場できなくなってしまうのは本当に悲しい。今年一番応援しているコンビかもしれません。
マユリカ。ここも明らかに今、波が来ていますね。旬という言葉が今最も似合うコンビかもしれない。今年めちゃくちゃ決勝行きそう。
東京ホテイソン。彼らが決勝最下位だったことをほぼ全員が忘れている。もう一度決勝行ってほしい。
コウテイ。昨年はコロナで棄権せざるを得なかったため、非常に悔しい結果に終わりました。一昨年の敗者復活の結婚式のネタが私は見ると感動さえ覚えるほど大好きです。KOCが先かもしれないけど、今年は良いとこ行ってほしいな~
キュウ。ここ数年の関東非吉本勢の勢いに乗るような気がする。彼らのネタがハマる大会にM-1はなりつつあると思います。
ダイヤモンド。常に新しいことをやっている彼ら、今年は準決勝進出に期待したい。
ヨネダ2000。女性コンビで決勝に行く可能性が最も高いコンビなのではと個人的に思っています。今のM-1なら多いにあると思う。
怪奇。そろそろ準決勝行くでしょ。
黒帯、牛ぺぺも注目しています。あと関西勢で忘れちゃいけない鬼としみちゃむ。
ナイスアマチュア賞の予想は昨年の1回戦の動画が注目を集めた日本人と中国人の社会人コンビ・コウキシンでよろしくお願いします。あの無作為に多方面を傷つけるネタをもっと多くの人に届けてほしい。あとアマチュアだったらさんしろう吹奏楽団に今年も出てほしい・・・
M-1で良いとこまで行ってほしいコンビ、恐らくまだまだいるのですが挙げるときりがないのでこの辺で終わりにしておきます。

(長い余談)
お笑いオタク、売れてる芸人がM-1出ることに厳しい問題について


あちこちオードリーで話題になっていたこの話。いや~難しいところですよね。
これは本当にお笑いオタクサイド、芸人サイドどちらの気持ちも理解できてしまいます。オタク的にはM-1という大会は無名芸人の人生が変わるきっかけであって欲しいわけです。だからこれまではお笑いファンの間でしか知られていなかったコンビが一夜で名を轟かせ、芸能界の階段を上がっていくドラマが最もテンションが上がるという人も多いと思います。自分も大阪のテレビが一つ決まるだけで喜んでいた霜降り明星がM-1で優勝し、若手のトップと言っても差し支えない位置に到達したのは何度思い返してもヤバイです。霜降りがCMなんかに出ていると未だにあの時感じたノスタルジーが蘇ります。そういえば最近錦鯉が大戸屋のCMに出ていますが、錦鯉が全国チェーンのドデカ企業の広告塔か...と感慨深くなってしまいます。
M-1公式も煽りVか何かで「4分間で人生が変わる」的なことを言っていたような記憶があるのですが、やっぱりお笑いファンの心理では全くの無名が一夜でスターになる大会である方が面白く感じてしまうんですよね。これが良いとか悪いとかではなく。無論、ファン全員がそう考えているわけではないと思いますが、少なくとも自分はそちら側です。
それなりに露出があり、特にお笑いファンというわけでもない一般人からも認知されている芸人がM-1で決勝に行くのは少し「つまらない」と感じてしまう節が正直あるんじゃないかなと思っています。
昨年ハライチが敗者復活から決勝に行ったのも一度はM-1から離れた彼らの結末として非常に美しいものだったし、それもそれで面白いのは周知なんですけどね。
ぺこぱも出始めはM-1でした。確かあの形のネタを始めて披露したのが2018の3回戦かな?当時はまだ着物とローラースケートでした。そして次の年に衣装チェンジでスーツへ。一気に決勝進出し、非吉本コンビが最終決戦へ進むのは確かめちゃくちゃ久しぶりだったはずです。自分はあの年、彼らが決勝常連の和牛に勝利した瞬間の松陰寺太勇のガッツポーズを見てかなり胸が熱くなりました。まさにM-1ドリームを掴んだぺこぱですが、それから3年後の彼らは「M-1ファンは売れている芸人に厳しい」と感じているわけです。去年は確か出場しませんでしたよね。多忙でネタを仕上げる余裕がなかったことが一番の理由だと思いますが。2020年の準決勝でやったあの十字架のネタは最高でしたね。2019年の自分たちを振りにするという。あのネタ、何かのネタ番組でもう披露していたと思うけど敗者復活で見たかったな~。
EXITに関しては、自分は毎年結構予選のネタが楽しみです。彼らが世に出てから早いもので3~4年が経過していますが、恐らく今の若手ではトップクラスで多忙だろうに毎年クオリティの高いネタを披露しています。出始めの頃は確か彼らの代表作ともいえる「俳句」であったり、普通にネタとして質の高いものをやっていました。あの風貌のコンビが案外しっかりした構成の漫才をやっている、というのも新しかった。しかし昨年の多分準々決勝で披露したネタは自分たちがめちゃくちゃ売れているということを振りにした自慢風自虐?漫才。M-1においては売れっ子であることがマイナスになることを彼らはよく理解していて、それをあえて全面に出すネタでした。EXITはストレートにいえば現代の最強ワーキャー芸人の立ち位置に見えますが、ネタをしっかりやることを重要視する考えが根底にはあるんだろうな~と思いますね。お笑いに全く無関心だった層もファンとして取り込んでいて、アイドル的人気も凄い中で芸人としての信念みたいなものがブレていないのは凄いと思います。お互い過去にいろいろ経験しているし、どこかで常に冷静さがあるんでしょうね。あちこちオードリーでは「今は評価されなくてもラストイヤーまでやってれば絶対面白がってもらえる」的な発言をしていましたがその通りですよね。めちゃくちゃ売れている中でそういった未来を明確に捉えているのはさすがだなと。このまま頑張ってほしい。個人的には、本人達が思っているよりも出始めを見てきたお笑いファン達はEXITを評価していると思う。
超余談ですが彼らが結成して1年も経っていない頃に渋谷無限大ホールのライブに足を運んだ際、りんたろー。さんはその日の出演者の中で誰よりも早く会場入りしていました。
ぺこぱもEXITもネタが面白いコンビだし頑張ってほしいな~というのが正直な思いです。ガチガチのお笑いファンは売れているからというだけで評価を曲げる人は少ないはず。

めちゃくちゃ長くなってしまいましたが今度こそ終わりです。
M-1に関わる全ての人たちに幸あれ。


お笑いライブに行かせてください!