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暗いお笑いオタクだからこそ純粋な光を求める~ママタルトの話~

暗いお笑いオタクだからこそ純粋な光を求める。最近気づいたことだ。
共感してくれる人がいるのか不明だが、少なくとも自分はこの傾向がある。
自分の性格や生い立ちを考えると、一番好きな芸人が霜降り明星なのは意外かもしれない。アンパンマンよりバイキンマンを応援するような逆張りキッズだったし、戦隊モノでも悪役やダークヒーローに惹かれることが多い人生だった。戦隊ヒーローはあまり知識がなくどのシリーズか思い出せないが、ゴールドとシルバーの悪役っぽい二人が中盤で仲間になるやつとかはかなり胸が熱かった。(これ調べても出てこないので気になる。ゴールドが男、シルバーが女だった気がするんだけど記憶違いかも)
今年は新たに好きになった芸人が多い一年だった。自分の中で「面白いと思う芸人」と「好きな芸人」は何となく違いがある。面白いと思う芸人はめちゃくちゃいる。数えてないけど200組以上いるんじゃないかと思う。では好きな芸人とは何かというと、「ラジオを聴いている」「YouTubeチャンネルを見ている」「ライブを見に行く」などのいずれかに当てはまる人たちである。面白いと思う芸人もかなり増えた。見るお笑いの幅が広がったという意味で良い一年だった。
今年のM-1で一番応援している芸人は?と聞かれると「ママタルト」と答えている。もちろんこれは絞りに絞った結果であり、応援している芸人は準決勝に行ったコンビであれば11組ぐらいいる。もちろん、金属バットもまだ可能性を諦められない。あえて一番を決めるならママタルトである。
10/30に大宮の劇場にママタルトを見に行った。囲碁将棋とママタルトのツーマンライブという非常に豪華なライブで、意外にも初めて大宮ラクーン劇場へ足を運んだ。自宅から大宮までは電車で1時間とちょっと、往復でも2000円くらいなのでめちゃくちゃ行きやすいということに最近気づいた。11月下旬の給料日までかなり金がないのだが何故それでも行ったかというと、ママタルトをライブで普通に見れる時間は有限だと気付いたからだ。錦鯉だって、M-1ファイナリストになる前はライブが主戦場の人たちだった。しかしファイナリストになってテレビ仕事が忙しくなったため劇場出番が減り、翌年には優勝してライブで見れるのはレアな存在になった。自分の直感がママタルトももうすぐ見れなくなるかもしれない!と訴えかけていた。ママタルトはこのライブのあと有楽町へ移動してM-1の3回戦を受けるようで、吉本芸人みたいなスケジュールだと言っていた。確かにコットンもKOC本番前に幕張かどこかの劇場に出てたし吉本特有のものだと思う。囲碁将棋のMCの後にママタルトが登場した時、大鶴肥満を見たお客さんたちが口々に「デカっ」と漏らしていたのが印象的だった。大宮のお客さんはメインで出演する芸人のメンツも相まってちゃんとしたお笑いファンが多いのだろうけど、それでも公演中に声を出してしまう人が続出するほどのデカさだった。確かに大鶴肥満は私の二十余年の人生で見た人間で最大だった。「太るのは才能」という話をよく聞くがその通りなのだろう。身長によっては70~80キロぐらいでも太っている扱いをされるし、誰がどう見ても太ってる人でも120~130キロぐらいが相場なのだ。太る才能が人並みの人は、気のままに食べても130キロぐらいまでしか増やせないらしい。今まで見た太ってる人というと思い浮かぶのは学園祭に来たANZEN漫才のあらぽん(120キロ)である。その時もデカいなとは思ったが、大鶴肥満は格が違った。世のデブ芸人は大鶴肥満が現れてから商売あがったりで大変だろうな、と思いを馳せた。
初めて見たママタルトのネタ「健康診断」は死ぬほど面白かった!このネタはM-1の3回戦で披露したもので、YouTubeのM-1公式に上がっているのでぜひ見てもらいたい。面白かったのはもちろんなのだが、それ以上に感じたのは「これからヤバイことになる予感」である。オーディション審査員風に言えば「キラリと光るもの」を感じた。M-1優勝前に霜降り明星の漫才を見たときも「これは大変なことになる」というワクワク感とライブで見れなくなるかもという焦燥感・寂しさを同時に感じたのだがママタルトを見て当時と全く同じ感情になった!ネタが仕上がりに仕上がりまくっていたのは言うまでもなく、それ以上の言葉にできない何かをヒシヒシと感じた。今年のキングオブコントでコットンの「お見合い」を見た時、コットンがキングオブコントのファイナルまで進出する画がはっきりと脳に浮かんだ。(これは他の観客も何人か同じことを言っていた)それと同じように、大宮で見たママタルトは彼らがM-1のせり上がりから出てくる様子を想像させた。その後の3回戦も爆ウケだったようで一安心だった。しかし後々ひわちゃんがGERA「ラジオ母ちゃん」で言っていたように、3回戦のネタは所々ミスしてしまったらしい。それも素人目には分からないレベルのものではあるが。大宮で見た「健康診断」は恐らく1ミスもない完全版だったのではないだろうかと思う。最後の写真撮影OKコーナーではママタルトの二人が全力でファンサービスをしてくださって、コミケにいるカメラ小僧のような気持ちでシャッターを切りまくってしまった。(ヘッダーはその時の写真)

ママタルトの魅力は圧倒的な光を放っている点である。これは色んな人が言っていることであり、自分もそう思う。見た後にHAPPYな気分になれるようなネタが多く、何も考えずに見て笑える。そこまでお笑いに詳しくない人におすすめの芸人を聞かれた時には、基本的にママタルトと答えている。そういう人にネタを見せると「面白い」と言ってもらえることが多い。なんだかこの書き方は誤解を招きそうなので強調しておくが、彼らのネタが玄人受けしないと言いたいわけでは決してない。ガチガチのお笑い好きからテレビに出る芸人しか知らないような層まで、どんな人で笑えるのがママタルトだと思っている。そして実は「誰でも笑える」というのはめちゃくちゃ難しい。ライブに通うようなお笑い変態にはドカンドカン受けるがM-1も見たり見なかったりのライト層には面白さが全く理解できない芸人もたくさんいる。反対に、ライト層にはウケるが通好みではないという場合もある。でも去年のM-1のeverybodyとか逆にお笑いファンの間でウケてたし、前者に比べると圧倒的に少数派である。この「誰にでも理解できる」と「通好み」のラインは非常に難しく、どちらかに寄せすぎても上手くいかないことが多い。そのラインがママタルトは絶妙なのだと思っている。
あとGERAでのラジオ「ママタルトのラジオ母ちゃん」が面白い。今年聴き始めたのだが、あっという間に#1まで全部聴いてしまった。最近だとつみたてNISAを始めに行った大鶴肥満が銀行の人にiDeCo(60歳になるまでお金を引き落とせない投資)を勧められ、即お断りした話がすごく面白かった。60歳まで生きられるわけがないと思っているらしい。二人のラジオを聴いていて思うのは、ひわちゃんと大鶴肥満があまりに正反対であることだ。(ひわちゃんと呼ぶと痛々しいファンみたいだが、大鶴肥満がそう呼んでいるため自分も自然とそう呼んでしまう)ひわちゃんは霜降り明星ファンならお馴染み。霜降り結成前から粗品と交流があるため、今でも粗品の主催ライブに呼ばれたりしている。ラジオでもちょいちょい名前が出る。ひわちゃんは周りで見たことがないくらい圧倒的に「光」の人間である。とにかく明るくポジティブであり、何かを気にしてウジウジ悩むようなことはない。この人だからこそママタルトのハッピーなネタが書けるのだと思う。反対に大鶴肥満は第一印象ではめちゃくちゃ陽気で明るく思われがちだが、実際はひわちゃんとは正反対にダークな部分を抱えている。親との確執や鬱屈とした学生時代など、闇が深い一面を度々覗かせる。デブは明るいという恐らく石ちゃんあたりが作り出したパブリックイメージがあるが、大鶴肥満はこれに該当しないのである。考え方の違いから話が食い違ったり、意見をぶつけ合う場面もしばしば見られる。しかしここで強調したいのはママタルトはコンビ仲が超良好ということだ。ぶつかる時も決して喧嘩ではなく意見交換という雰囲気で、徹底的に話し合うからこそコンビ仲の良さを維持できているらしい。圧倒的光属性のひわちゃん、ああ見えて闇の深い大鶴肥満のバランスが魅力を放っている。
彼らが準決勝に進んで本当に嬉しかった。多分来年の今頃にはママタルトはすっかり売れてしまい、忙しくてネタ調整が難しい状況になっている。そのため行くなら絶対に今年がベストだと思う。あと、やっぱり上に行く「流れ」みたいなものが確実に来ている。これは可視化できないものでうまく説明できないが、今年の準決勝組でいえば男性ブランコ、マユリカなんかも同じような流れ、勢いをひしひしと感じる。本当に頑張ってほしい。大宮のライブで囲碁将棋の根建さんが言っていたように、ママタルトはいつか絶対にM-1で優勝すると思う。それが今年であってほしい!まーごめ。


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