アフリカの最貧国マラウイで経験した、4か月の休校中の過ごし方。
今のコロナ休校と似て非なるものかと思いますが、実は私、「マラウイで4ヶ月休校」を経験したことがあります。私の配属先だったマラウイの教員養成大学です。正確に言うと、休校ではなく、始業延期ですが。
去年、まわりの人にちらっとこの話をしたら、
「え、どういうこと?」
「じゃあ何してたの?遊んでたの?」
なんて、ハテナだらけの顔をされましたが、それも無理もないことだと思います。これらの問いにパッと答えられるかといったら、かなり難しいです。
■マラウイ日記
その時まだ、かっちりした仕事が始まらず、生活の自由度が高すぎて、「これをやってました!」というものがないからです。助けてくれたのが、マラウイで毎日つけていた日記です。
これを見返すと、「ふむふむ、こんなことしてたな」と、意外とあっという間に過ぎてしまった4か月の休校期間を、なんとか思い出せるのです。決して遊んでいたわけではないことが記されています。笑
記録をつける、というのは「遊んでたんじゃないの?」と言われかねない時には、決して遊んでいるわけじゃない自分を守るためにも、とても大切だなと思います。
■なんで休校していたのか
これについては、未だになぞです。リロングウェはマラウイの首都です。その教員養成大学の学長でさえ、いつ始業するのか把握しておらず、私が聞くといつも、
「知らない、上から情報が降りてこない。待ちなさい。心配するな」
としか言われませんでした。他の大学職員に聞いても、
「きっと来週には何らかの情報があって、2週間後にはスタートするよ。心配するな」
と言われ続けていました。そのやり取りを毎週のようにしていました。それが4ヶ月続いたのです。笑
「なんで、早く決まらないんだ」
「始まらないなら始まらないで、予定を立てたいから情報がほしい」
と、ヤキモキする状態が続きました。
私の勝手な想像ですが、多分、教育省の上層部だけで、新しく導入するカリキュラムをのんびり作っていて、それが9月の始業に間に合わず、さらに、その情報が各学校に知らされていなかった、ということなのでしょう。
ヤキモキする私をしり目に、マラウイ人は口をそろえて「大丈夫、心配するな」と言っていました。反政府デモや、教員のストライキ、度重なる飢饉、自然災害などで、1~2ヶ月学期が中断する、短縮されるというのが日常茶飯事なマラウイ人にとっては、なんともなかったのです。
だから、マラウイでは始業が、各学校種ごとにずれています(小中は今のところそろっていますが)。きっとずらす意図はなく、ずれちゃったんです。大学なんかは各大学ごとにバラバラです。何それ、って感じです。でも、これもマラウイ人的には「大丈夫、心配するな」です。
■じゃあ、4か月何していたの?
大学の先生向けの研修会などが、たまにポツポツ入ってきて、それに同僚と一緒に参加していました。とはいっても、連絡はいつも急でした。
大体、前日の夜にグループチャットで「明日の朝8時から研修やります」とメッセージが入ります。それも、全く仕事に関係のない、大量のくだらないおしゃべりチャットに挟み込まれてくるので、慣れないうちは何度か見過ごしたことも。それさえもなく、朝校内を歩いていたら「今から職員会議だけど、タナカも来られるよね?」なんていう通達の仕方さえありました。
大学の会議や研修があるときはそれを優先していましたが、それ以外の時間は基本自由です。始業がいつかいつかと、ヤキモキして時間を無駄にするのもいやになったので、そのうち
「これこそマラウイタイム。流れに身を任せるしかないな。その代わり今やれることをやれるチャンスかも」
と、緩やかに考えを転換しました。(パッと切り替えられたわけではありませんでした。。。)
そこで、すでに始業していた小中学校に、飛び込みで訪問し授業見学をすることにしました。来たばかりだし、大学も始まっていなかったので、小学校の先生方からしたら、完全に「あんた誰??」状態でしたが。私も「あれ、私は誰?」状態でした。
自分でも、訳のわからない自己紹介をしていたと思います。
その他には、
★社会科見学(国会、省庁、ダム、たばこ工場、酒工場、教会、病院etc)
★他の隊員の様々な活動見学
★趣味の山登り(土日限定)
などをして過ごしていたことが、日記を見返すと分かります。社会科見学なんかは、そういう制度があるわけではなく、全部飛び込みで行きました。
もちろん、「マラウイ生活に慣れる」のに、かなりの時間を持って行かれたのは間違いありません。
一見すると、大学で算数と体育を教えるのに、あまり関係ないこともしているように思われるかもしれませんが(私もその時はそう思っていました)。
でも、後から思い返すと、この4ヶ月の休み期間中に自由に動き、見聞したことが、いざ大学が始業し活動が始まった時に、ものすごく生きたんです。
ヤキモキしたままじゃなくてよかった。
役に立つのか立たないのか、よくわからないお話でしたが、ここまでお読みくださり、ジコモでした。
※ジコモ=ありがとう(マラウイチェワ語)
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