見出し画像

天使のアンケート

天使が落とした「エクスチェンジ・ノート」をたまたま僕が拾って、ママの寿命と越田首相の寿命を天使に頼んで入れ替えてもらい5年の歳月が経ちました。
ハローワークで紹介してもらった恵理子さんのお父さんの会社に就職し、その後恵理子さんと結婚した僕は二人の子供にも恵まれ、越田首相と寿命が入れ替わって長生きできるようになったママと同居をして幸せな家庭を築いていました。
ある日、恵理子さんと二人ベッドで寝ている時またあの天使がやってきました。
「おい、起きろ、私だよ、天使だよ、浩司。」僕は仕事で疲れていたので目が覚めず隣で寝ていた恵理子さんが先に気が付いて、「あ、あなた!変な格好をした女性が枕元にいるわよ!誰!この女性は?」 「あ、うん、どうしたの?」と僕が目を開けると枕元にあの凄く美人でグラマーな天使がメイドの服を着てニコッと笑っていました。「よ!元気か?私よ、天使。」
「あ~!て、天使さん、お久しぶりです、その節はお世話になりました。どうしたんですか?」 「お前、今、子作り中か?邪魔ならまた出直すぞ。」 「あ、いや、もう寝てましたけど。それよりどうしたんですか?メイド服なんか着て。」「これ?なかなか可愛いでしょう?私はこの服が一番好きなの。ほら悪魔の彼もさこの服が好きって、私がこの服を着ている時は悪魔も燃えて凄く激しいのよ。あいつ本当はメイド喫茶に行きたかったって言っていたわ。」 「は、はあ、そうですか、って、今日は何か用事で来たんですか?」 「あ、そうそう、肝心なことを忘れるところだったわ。神様がねあのノートの使用状況を見ていて、使った人間の感想を聞いて来いって、簡単に言えばアンケートを取って来いって。だから久しぶりにあんたに会いに来たのよ。どう?幸せそうだね、良かった。」 「はあ、凄く幸せですよ、今は。神様のご褒美のおかげです。」 「そうかそうか、神様はいつもお前たち人間の幸せを願っているんだぞ、それを忘れてはいけないぞ、うん、うん。それでな、簡単なアンケートに答えてくれる?」 「はあ、何でしょう。」 「まず一つ、寿命を入れ替えたお母様は幸せになっているか?お願いしたあんたは幸せか?」 「はあ、ママもあれから病気もせず、僕もあれから仕事も見つかり結婚もできて二人の子供にまで恵まれ凄く幸せです。」 「そうかそうか、それはよかった。あんたが私に寿命の入れ替えを頼んだ第一号だからさそれが心配だったんだよ。それともう一つ、入れ替えられた越田だったっけ、あれは死んで私の彼が地獄へ連れて行ったらしいけど、あれから世の中少しは良くなったと思うか?」 「あ、いや、誰が政治家や首相になっても同じみたいですよ。今の世の中真面目にやっている人間には住みにくいし大変ですよ。」 「そうか、やっぱりだめか、早く死んだ方が良い奴をあれからかなりの数悪魔が地獄へ連れて行ったけど、あまり結果は芳しくないのか、そうか。いや~神様がな、エクスチェンジ・ノートの効果はどうか調べて来いって言うんだ。あまり効果がなかったら続けても意味がないだろうって。せっかく私が出したアイデアだからさ、ずっと続けていきたいんだけどなあ、そうか。」 「でも天使さん、長生きしてほしい人間が長生きできて、早く死んだ方が良い人間が早く死んでいってくれているからそれでいいんじゃないんですか?せっかく天使さんが作ってくれたノートだからあった方が良いと思いますよ、僕は。」 「あんたがそう言ってくれるのは嬉しいよ、私。ただなあ、地獄の閻魔様がな、早く死んだ方が良い人間は大体地獄へ来る奴が多くて、受け入れ準備が大変だって、神様に文句を言ってくるらしいんだ。鬼たちがてんやわんやしてるって。まあな、それも分かる気がするしなあ。じゃあ、そう言う風に報告しておくわ。これからまた彼氏とこの格好でデートなんだ、あいつこの服を見ると興奮してなあ、燃えるんだ。今日は何回逝かしてくれるか楽しみだなあ。おっと、奥さん邪魔したね。私とこいつは変な関係はないから心配しないでね。こいつ私の趣味ではないんでね。それと、奥さん、こいつこう見えてなかなか親孝行でいいやつだからさ、いつまでも仲良くしてやってな、じゃあな、達者でな。」と天使さんは言いたい放題言って姿を消しました。
「あ、あなた、誰?あの女性?」 「あ、あの女性、天使。現代の天使は昔と違って白いドレスなんて着ないらしいよ。その時の気分で好きな格好が出来るんだって。それに彼氏が凄いんだから、見た目は凄く怖~い悪魔でさ。でも気は弱くて人見知りらしいよ。仲良くしてやってくれって天使さんは言うけど、あまり悪魔さんとは仲良くしたくないからね。それに君と知り合えたのも彼女のおかげなんだ。あ~あ、あの天使のおかげですっかり目が覚めたね。どうする?これから3人目に挑戦する?」 「え!あたなた!うん、愛して!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?