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#08 成長するマインドセットとは

 先日、庵野秀明展を観ました。有名な作品だけでなく、まだ若い頃に描いたイラストや大学生の時に作った自主制作映画など、現在の庵野氏が制作したものに比べたら非常に粗けづりな作品も多く展示されていました。
 きっと庵野氏はクリエイティブ(創造)に関して「しなやかなマインドセット」だったのだと思います。

 本日の記事はスタンフォード大学心理学教授、キャロル・S・ドゥエク氏が書いた「マインドセット「やればできる!」の研究」について紹介したいと思います。
 本書は「やればできる!」という根性論ではなく、「やればできるのにやらない」のはマインドセットが「しなやか」か「硬直」かの違いである。ということを同氏の研究を通して教えてくれます。
 僕は初めてこの本を読んだ時、鳥肌が立ったのを覚えています。

マインドセットとは

 マインドセットとは「無意識の思考のクセや習慣」のことです。

 マインドセットは、「確立された一連の態度、特に特定のグループの社会的または文化的価値観の典型と見なされます。人の見通し、哲学、または価値観、心の枠組み、態度、性向」です。考え方は、人の世界観や人生哲学からも生じる可能性があります。

ウィキペディア(英語)

 ドゥエック氏はマインドセットには「硬直マインドセット」と「しなやかなマインドセット」の2種類があり、どちらのマインドセットを選ぶかによってその後の人生に大きな開きが出てくると述べています。

硬直マインドセットとしなやかなマインドセット

 硬直マインドセットの人は、人の能力は固定的であり変わらない。固定的であるがゆえに自分が有能であると証明したいと考える。
 しなやかなマインドセットの人は、人の基本的資質は努力次第で成長するという信念がある。努力と経験で成長したいと考える。

 本書に書かれている硬直マインドセットとしなやかなマインドセットの特徴ある事例を一つ紹介すると、4歳児にパズルをさせた後に「簡単なパズルをもう一度する?それとも難しいものに挑戦してみる?」と尋ねると、硬直マインドセットの子は簡単なパズルを選び「かしこい子は間違ったりしないんだよ」と言い、しなやかなマインドセットの子は「同じパズルを何度もやりたい子なんているわけないでしょ。」と言い、難しいパズルに挑戦する。
 4歳児で、挑戦することに臆病になる子と前向きな子の違いが現れることは驚きです。そして、これは子供だけでなく大人にもあてはまる事例ではないでしょうか。自分はすごい人だと証明したいため、失敗してはいけないと思っている人と、自分がすごい人になりたいため失敗しても成長を求める人。

最後に

 この記事を見て「自分は硬直マインドセットだ。」と落ち込んだ方、マインドセットは変えることができるそうです。そもそも、しなやかなマインドセットは努力すれば成長や変化を起こすことができるという信念です。「しなやかなマインドセット」になる第一歩が「自分は硬直マインドセットだ。」と今気づいたことが転機であり、変化を起こすきっかけなんだと考えることだと思います。
 僕は完全に硬直マインドセットだったと自覚しています。僕たちは完成したものを見て評価し、完成したものはいくつもの失敗の上に成り立っていることを忘れがちです。
 当記事冒頭、庵野氏がクリエイティブにおいてしなやかなマインドセットなのではないかと記載しました。同氏が大学生の時に作った自主制作映画は撮影場所も備品もありあわせのようで、お世辞にも完成度が高いと言えるものではありませんでした。しかしそこには、誰かの評価や自分がすごい人だと証明するという雰囲気はなく、自分がやりたいことを必死にやって成長したいという気概を感じました。
 特別な人が特別なことをできるのでなく、マインドセットを変えれば、誰でも成長できるのだと思います。


 本書の中には、他にも様々な事例や、子供や後輩をしなやかなマインドセットにするためのヒントなども書かれています。
 ぜひ一緒にしなやかなマインドセットを目指しましょう。