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#magazine一服
左手にソーサー、右手にカップ(あるいは、マガジン一服)
祖父は喫煙家だった。
その飯台の上にはいつも、安っぽく光る銀色の灰皿が置いてあった。
タバコのニオイはあかんねん、と祖父の娘だった母は言うけれど、子どものころの私はけっこう好きだった。タバコのニオイ=おじいちゃんのにおい、だったのだ。
テレビに向かって一番手前の左側の椅子が祖父の定位置だった。NHKをつけながら、焼酎をコップ一杯つぎながら、タバコの煙が天井へと舞っていたことをぼんやりと覚えて