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中身は同じだけど見た目が悪い商品の活用方法を考えてみる

 今週の『カンブリア宮殿』ではスープストック東京が特集されていたが、その新商品開発の一幕がとても印象に残った。北海道産のホワイトアスパラガスを利用しているとのことだったのだが、本来なら1kgあたり4,000~5,000円するところを、「味は同じなのに見た目が悪いせいで規格外になってしまった商品」を利用することで、原価を抑えつつ美味しさを実現している、というのだ。確かに、スープにしてしまえば、元の見た目は気にならなくなる。

 同様の仕組みを、先日読んだ記事でも見つけた。

 これも、「味は同じなのに、見た目やわずかな傷のせいで”規格外”とされている商品を、料理店に卸すことで有効活用する」という仕組みで、スープストック東京と同じ仕組みだ。こちらも、料理後に重要なのは味であって、見た目ではない。

 だがここで私は、「本当に大事なのは味だから、見た目なんでどうでもいいのだ!」ということを言いたいわけではない。私がいいたいのは、「商品と消費者とが接点を持つ文脈や背景次第で、消費者が重要視するポイントは異なる」ということだ。

 例えば、スーパーに陳列されている、数あるトマトのなかから”そのトマト”を選んでもらうためには、見た目は非常に重要な要素だろう。味がいいといわれても、消費者はそれを知覚できない。逆に、トマトスープとして出てきたトマトに求めることは、「味」や「香り」であるはずだ。「美味しくないかもしれないけど、見た目はきれいなんですよこのトマト!」と叫んだところで、消費者は耳を傾けてはくれないだろう。

 上記の事例からは、「他は問題ないのに、ある要素が欠点となって、本来の価値が発揮できていない」商品やサービスは、「欠点となっている要素自体が問題にならないように仕組みを作ることで、本来の価値を発揮させられる」ということがわかる。ここで重要なことは2つだ。1つ目は、「本来の価値が生まれる可能性がある」からこそ、「ある要素が問題にならない状況」を作ることが重要なのであって、「本来持たない価値を見せかける」ためにそうしてはならない、ということだ。2つ目は、「変えるべき点の候補は無数にある」ということだ。商品の見せ方を変えるだけでなく、対象となる消費者を変えたり、商品を選んでもらう文脈を変えたり、候補は多い。例えば、商品が生産されてから消費するまでの流れや関係者を洗い出したうえで、変更ポイントの候補を洗い出してみるとよいだろう。

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