手編みのマフラー

2024年がはじまり、あっという間に2週間がたった。お正月は久しぶりに実家で過ごし、ゆったりとした気持ちになった。その間に、4歳の息子用にマフラーを編んだ。息子が欲しがったのがきっかけだが、私も久しぶりにやりたくなった。
マフラーは、表編みと裏編みを繰り返すだけのシンプルなもの。最後の2センチくらい、裏表が逆になってしまったのだが。紅白を眺めながら、道中の新幹線で、せっせと編むのは、楽しかった。手が覚えていることの喜び。編み目が増えれば長くなり、完成したことの達成感。息子が嬉しそうに毎日着けて幼稚園に行ってくれる。
 
シュタイナー教育では、手仕事はこどもの傍らでという。手作りのあたたかさをかんじたり、ものが出来上がる過程をみるのは素晴らしいこと。つくる人へのリスペクトも生まれる。
なるほどそのとおりとやってみたところ、まぁ一瞬で毛糸をぐしゃぐしゃにされて。1歳の次男がそのすぐそばでおしっこした時は叫んでしまった。全くもっていい修行になりました。

私がシュタイナー教育をいいなと思った理由のひとつに、手作りを大事にすることがある。私の祖母は裁縫が得意だった。子供のころ、マフラーやベストは編んでくれたし、浴衣も紬の着物も仕立ててくれた。穴があいた服はきれいに埋めてくれた。私の息子に帽子も編んでくれたな。手作りのものを身に付けるのは守られているような感覚で嬉しかった。そんな手作りの魔法が使えるおばあちゃんを尊敬していたし、自慢で、大好きだった。
けれど学校へ行くと、おばあちゃんの魔法は「家庭科」とカテゴライズされ、成績評価の重要度は主要科目に比べて下がる。同級生が身が入っていないのが伝わる。自分で作れるってすごいことなはずなのに。なんだか悲しかった。
それが、シュタイナー教育ではとても大切にされている。手仕事の授業は1年生からあり、裁縫から編み物、革加工、ヴァイオリンづくりもできる。カリフォルニアのシュタイナー学校では籠を編んでいたな。手作りを大切にする姿勢が、私にはしっくりきたのだ。

今年のお正月は、それどころではない方々がいることも心に留めたい。能登半島地震の様子をテレビでみた。地震や津波の恐ろしさ、この寒い季節の避難生活はしんどかろう。思いを馳せることしかできないのが心苦しい。被災地の方々が、少しでも穏やかに過ごせますように。

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