見出し画像

金利は経済は経済のバロメーター。債券市場を理解すれば、株式市場を予測できる。

現在、米国の短期金利も長期金利も歴史的に高い水準にあり、今後、少しずつ利下げが予想される中で、債券投資への注目が集まっています。

一般的な経済知識として、金利と債券は逆相関の関係にあり、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がっていきます。

なぜ、金利が下がると債券価格が上がるのでしょうか?

例えば、額面100万円で金利が4%、償還期間が2年の債券Aというものがあったとします。

そして、1年後に金利が3%に下がったとしましょう。

すると金利が3%下がった後に発行された債券Bは額面100万円で金利が3%、償還期間が1年という形になります。債券Aは金利が下がっても、下がる前から持っているため金利は4%のまま変わりません。

利下げ期待が高まる中で、債券市場に注目が集まっている。

この時、債券Aは100万円で、金利が4%なので「100万円で買わないか?」と言われたら喜んで買います。

つまり、債券Aの値段が上がって101万円になります。債券Aは1年後の償還を迎えると、100万円が返ってきて、利息が4万円つきます。ただ、101万円で買っているため、マイナス1万円と利息の4万円で利益は3万円になります。

債券Bは100万円がそのまま返ってきて、利息が3万円なので、債券Aと債券Bの利益は同じ3万円になるわけです。これが金利が下がると債券価格が上がる理由です。

中には、株式に比べると債券はリターンに魅力がなく、債券に分散投資などはせず株式100%で十分だと考えている人も多いことでしょう。

しかし、債券の利回りは世界経済のバロメーターとも呼ばれ、株式の状態をきちんと把握するために、債券のことをしっかり理解しておくということが大切です。

金利とは、経済にアラートを出すものだと言われています。特に米国の金利を見ることが、暴落を予期する助けにもなっていくのです。

債券市場は経済のバロメーター。

例えば、リーマンショックの時を見てみると、ユーロ圏や日本の金利は、リーマンショックが起きてから下がりましたが、米国の金利だけは、リーマンショックが起こる前から少しずつ下がっていました。米国の金利に敏感であったならば、不況入りする前に株式市場から逃げることができたとも考えられます。

コロナショックの時も、コロナが起こる2019年の後半くらいから金利は少しずつ下がっていました。

2020年にコロナショックが起こると、米国のFRBは経済を活性化させるためにゼロ金利政策を行いました。そして、2022年頃から米国経済が一気に再開し始めると、経済の需要が一気に増え、モノや働く人不足が起き、インフレがどんどん加速していったのです。

そこから、インフレを抑え込むためにFRBは利上げを急ピッチで進め、現在の政策金利は5.25%から5.5%になっています。

FOMC(連邦公開市場委員会)は、現在金利を据え置いているわけですが、ずっとこの高い金利を維持し続けてしまうと、企業や個人が資金を借りる際のコストが増えて、経済を必要以上に減速させてしまいます。

コロナ、リーマンと既にアラートは出ていた。

従って、FRBは今年中に利下げに踏み切ると見られているわけですが、利下げの予想回数は、今年の最初の時点よりも少なくなってきています。

市場では、2024年1月の時点で、2024年中に年6回程度の利下げが見込まれていましたが、3月の時点では年3回程度、そして、現在では年1〜2回程度と予測がされています。

つまり、いまどういったことが起こっているかと言うと、利下げが必要なほど米国経済が悪くないということです。

株や不動産が上がっているので、消費がいまだに強いということが背景にはあるのでしょう。

市場は急速な利上げによる景気後退を折り込んでいたからこそ、年初には6回程度の利下げを予想していましたが、実際には景気後退は起こっておらず、現時点ではソフトランディングの可能性が高まっているとも言えます。

債券の利回りは世界経済のバロメーターと言われる通り、債券市場を通じて、様々な経済の動きが見えてくるのは非常に面白いところです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?