百科事典

我が家には二種類の百科事典があった。ひとつは亡くなった父のものそしてもうひとつは私のものである。
私の百科事典は私が中学校の時に勝ってもらったものである。もう50年近く前になるのではないか。
記憶では買ってもらった当初はずいぶんと読み込んだものだが、もう大学生になった頃はほとんど読むこともなく書棚の奥に鎮座したままだ。
父親は4年前に亡くなったがいつのまにか百科事典は消えていてどう処分したのか不明だ。
私の百科事典はいまだに私の部屋にあるが、どう処分していいものかわからない。
古書店や古本を買取してくれる店などは買取について百科事典はダメというところがほとんどだ。40年、50年前は百科事典は一家に一揃いは必ず?と言っていいほどあったように言われていたが、これらの百科事典は今はどうなっているのだろうか。応接間のアクセサリーとして未だ持っている家庭もあるのだろうか。あるいは私みたいにどう処分していいのかあるいはもう粗大ごみとして捨ててしまった家庭もあるのだろうか。
かつてはその家庭や家族の知的レベルの高さを示すものとして重宝された百科事典も、今や粗大ごみとしてしか扱われなくなっているのがないかもの悲しい。
百科事典のみならず図鑑と文学全集も古書としては売るにも買うにも人気がないらしい。
家のある百科事典や文学全集の類を眺めながらなにか寂しい気持ちでいっぱいになる。

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