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「珈琲」のお話

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高校生の頃から喫茶店に通うkiyoくん。cafeはkiyoくんのパワースポット。cafeで出会った人達とのあれこれを綴ります
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見知らぬ人から

よく行くスターバックスがある。そのお店のカウンターで、いつもドリップ珈琲を注文する。ある時にバリスタさんから「kiyoくんに他のお客様から預かりものがあります」と英字新聞を手渡された。ドキドキした。友人知人には英字新聞を読む人はいない。僕も読む習慣は無い。 何かメッセージはないかとページの間を探すが何も無い。暗号の様なモノはないかと逆さに新聞を見てみたり、光に透かしてみたりするが何もわからない。ひょっとしたら、スパイが渡す相手を間違えて、僕は事件に巻き込まれたのかもしれない

グラタン

雨の日の歯医者の帰り道、 珈琲を飲もうといつものお店に行ったが定休日だった。 残念に思いながら帰っていると、 路地を一本入った通り沿いに新しい建物が見えた。 そこは昔、僕が高校生の頃よく通った喫茶店があった場所だ。 高校を卒業すると他の街に進学したのでそれっきりご無沙汰になっていた。 当時とは店構えが変わっているので、ごそっとリノベーションでもしたのだろうと思った。お店の前に立って看板を見ると昔の屋号のままだった。 高校生以来だからもう30数年前になるから、オーナーさんが変

遠く離れても。。。。。

僕がこの街に越して来たのは3年前。cafeが好きで、cafeが僕のリラックスできる場所。この街にまだ馴染みの店は無くて、僕はどこで落ち着こうかと戸惑っていた。そんな時、通り沿いでスターバックスを見つけて入ってみた。 このお店はオープンしてまだそんなに時間が経っていないようだった。 真新しいテーブル。家具屋さんから配達されたばかりの様な、ふわふわのソファ。そしてまだ緊張感が伝わってくるバリスタさん達。何より新しい街に住み始めて、新しいお店に入った僕が緊張していた。 そんな中

パッチ論争

僕が高校生のころから通っている喫茶店がある。ハンバーグ定食が有名で半熟目玉焼きをハンバーグに乗せてその上からトマトケッチャプソースをたっぷりとかけてくれるのがたまらない。 もう、通いはじめて30年以上になる。結婚する前に奥さんをこのお店に連れて言った時に、「あんた、はじめて女の子連れてきたな」とママさんが言ってくれた。 そのお店は住宅街の中にあるのでお客さんはご近所の常連さんが多い。寒い冬の日に、中年の男性客が数人カウンターで珈琲を飲みながら、マスターと話をしている。僕は

11月のある日

11月の3連休に奥さんとドライブに出かけた。自宅から1時間程の道の駅で休憩してお昼を食べていると、先日テレビで出演されていたcafeがこの近くだと思い出した。 お店に電話すると店主さんが出てくれて今いる場所から10分弱くらいで到着できると言う。早速いってみようと思っていると店主さんは電話を切る間際に 「カーナビでは到着しません。田舎すぎるので。途中寂しくなりますがその先にお店がありますのでがんばって来てください。お待ちしています。」 と気になる事を言った。 cafeに

ある珈琲店マスターの話

 僕が以前住んでいたマンションから、歩いて5分くらいのところにcafeがある。自宅のガレージをセルフリノベーションでcafeにして、客席は6席程。ヤマハの古い大きなスピーカーから会話にじゃまにならない、丁度いい音量でいつもJAZZが流れている。珈琲は自家焙煎。定年してからマスターが大坊珈琲等の有名店を巡って自分で勉強したそう。珈琲の一杯の値段はとても安い。それにもかかわらず、マスターは「本当は100円、いや無料で皆さんに振る舞いたい」と言う。その隣でママさんの目がキラリと光り